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今日2018年1月20日土曜日は大寒(だいかん)です.定気法と平気法

大寒と書いて「だいかん」と読みます.寒さが最大の頃と思って良いでしょう.一年で最も寒い季節です.実際に各地で最低気温の記録が出やすい時期でもあります.

二十四節気大寒 一年を二十四に分けてそれぞれに特徴ある名前がついています.1年12カ月の24分割ですから,1節気約半月となります.

大寒の次は立春清明穀雨立夏小満芒種夏至と続きます.

天文学的に見た節季 大寒天文学的には,太陽黄経300°の瞬間なのですが,暦の上ではその瞬間(1月20日03:09)を含む日を言い,同時に二十四季節「大寒」の期間が始まります.

大寒の期間は約半月間で春分(2018年3月21日水曜日)の前日までです.大寒の次の期間は立春です.春分の瞬間の太陽黄経は0°です.

実は春分を原点の0°としているので,90°が夏至,180°が秋分,270°が冬至となります.この方法が定気法の節季配置です.現在はこの定気法という節季配置が一般的に行われています.

定気法と平気法 実は,江戸時代の天保暦から定気法になったのですが,それより前は平気法(または恒気法)という節季配置を行って今した.平気法というのは24分割なのですが,角度による分割ではなく,日数(時間)で分割します.しかも,原点を冬至とします.

ここで,少し考えて見てください.一見どちらも変わらないのでは?と思います.地球が太陽の周りを一周まわる期間が1年です.一周まわるという事は360°まわることですから,一見同じようにみえます.

でも,一周を24等分して考えた時,もし,地球の回り方が正確な円では無くて,少しゆがんだ楕円だった場合,それぞれに区切られた区間を通り抜ける時間が等分ではなくなるのです.

実際に地球が太陽の周りをまわる道筋(これを公転軌道と言います)は楕円になっています.従って一周を角度で等分する定気法と日数(時間)で等分する平気法とは少しずれがあります.どのくらいずれているかと言うと,最大2-3日程度です.

ですから,江戸時代の天保暦採用の前と後では,節季はずれていることがあります.

天保暦のデータ(wikipediaより一部修正済み)

使用期間

天保15年1月1日(1844年2月18日)に寛政暦から改暦され,明治5年12月2日(1872年12月31日)まで約29年間使用されました.

明治6年(1873年)1月1日,グレゴリオ暦(太陽暦)に改暦され,明治42年(1909年)まで官暦(伊勢神宮から発行された本暦や略本暦)に記載されていました.

概要

渋川景佑らが西洋天文学の成果を取り入れて完成させた暦で,実施された太陰太陽暦としてはそれまでで最も精密なものと評価されています.天文学者の平山清次の計算によれば,平均太陽年が365.24219日・平均朔望月が29.530589日に対して,天保暦の太陽年は365.24223日・朔望月は29.530588日であり,グレゴリオ暦の太陽年の365.2425日よりも誤差が小さいことが確かめられています.(参考:暦法及時法).

直前の寛政暦までは,二十四節気を1年間を等分(時間分割)して計算する平気法が使用されていました.天保暦からは太陽の位置を計算し,天球上の太陽の軌道を24等分(角度の分割)して二十四節気を求める定気法を採用しました.

定気法の採用によって旧暦の置閏法(閏月の置き方)が複雑になりました.もし,定義通りに運用すると2033年には九月の次が十一月になってしいます(旧暦2033年問題).

暦は難しいですね.でも,大寒は昔も今も,最も寒い季節に違いありません.風邪などひかぬようお気を付けください.

今日はこれまで.ではまた.