前回は味噌の種類は大きく分けて3種類+調合味噌があることと赤味噌,白味噌の違いは蒸す(赤)と煮る(白)の違いであることを見てきました.今回はなぜ色の違いができるのかについて詳しく見ていきます.
原料は大豆ですから色は薄黄色です.それが赤味噌の場合赤くなります.この色はタンパク質と糖分が反応してできたメラノイジンという褐色の色素によるものです.この反応をメイラード反応(Maillard reaction)といいます.
この化学反応はフランスの科学者ルイ・カミーユ・メヤール(Louis Camille Maillard)によって研究されました.タンパク質を含む食品の着色,香りの生成,抗酸化性成分の生成等の反応です.加熱によって急速に反応が進みますが,常温でも進みます.
食べ物を焼いた時色がきつね色になったりアメ色になったりして良い香りがしてくるのはこの反応によるものです.
身近な例では,パンやご飯の褐色化,肉を焼くきの褐色化,コーヒー豆の焙煎での褐色化などがあります.
赤味噌と白味噌
赤味噌の場合この反応が起こっています.豆を高温で長時間蒸すことによりタンパク質が熱変性して酵素による分解が促進されやすくなります.製造中の温度が高く(夏場など)発酵熟成期間が長い程,反応が進み褐色が濃くなります.
一般に赤味噌は熟成期間が長いので保存の為に塩分濃度が高めになっています.つまり塩辛くてメラノイジンによるコクがあります.例外的に江戸甘味噌は赤味噌でも高温で超短期間に熟成させますので塩分も少な目で甘いです.
一方,白味噌の場合は豆を煮ることで豆の糖分やタンパク質などの水溶性成分が流出します.また発酵,熟成期間も短いためメラノイジンが少なく色が淡くなります.
蒸すのと煮るのの違いと発酵,熟成期間の長さの違いでメラノイジン量の違いができ,赤味噌と白味噌の違いができるわけです.
今日はこれまで.ではまた.