普段当たり前の様に飲むコーヒーですが,コーヒーは豆を挽いて飲むことは知っていますが,コーヒーの木については知られていないことが多いと思います.今日はコーヒー木と豆のお話です.
コーヒーの木
コーヒーの木は,赤道を挟む北回帰線と南回帰線の間のいわゆるコーヒーベルトと呼ばれる地域で育ちます.3メートル程の高さ(農園で高さ管理されています)の常緑樹で白い花が咲きます.
赤または紫の果実はコーヒーチェリーと呼ばれ,成熟するのに9カ月程かかります.チェリー(さくらんぼ)程の大きさで,柔らかく,まさにコーヒーの木に成ったチェリーです.
これがコーヒー豆になりますが,皮を取り除いて中の種を取り出します.この外皮と果肉は柔らかく,チェリーの様に食べることができます.この部分にもカフェインが含まれています.
取り出した種の周りには果肉が付いていますので,これも除去します.除去方法はコーヒー豆の製法の一部で,いくつかの方法があります(コーヒー豆の精製方法).
コーヒーの品種
コーヒーの品種は200種類ほどあります.大きく分けると,アラビカ種,ロブスタ種,リベリカ種の3種に分けられます.
特にアラビカ種は7割を占め,残りはロブスタ種で,リベリカ種は病気に弱く,品種的にも劣るためほとんど作られていません(1%未満).
アラビカ種
ブラジルの「カトゥーラ」,「カトゥアイ」,「ムンド・ノーボ」 コロンビアの「カトゥーラ」,「バリエダ・コロンビア」などが主流になっています.
また,スマトラ,モカ,ブルー・マウンテン,コナ,マラゴジッペ,アマレロ,ゲイシャなどもアラビカ種です.
かつてはブラジルの「ブルボン」とコロンビアの「ティピカ」が,アラビカ種の2大品種と呼ばれていましたが,農業技術の発展と共に品種がより良いものへと変わってきています.
ロブスタ種
風味はアラビカ種に及ばないのですが,3年で収穫できるようになり,かつ少雨,高温多湿の土地でも栽培できる特徴のある種です.インスタントコーヒー用や安価なコーヒーの増量用に使われます.主にベトナムで生産されています.
その他
先にお話ししたリベリカ種はあまり生産されていません.他にアラビカ種とロブスタ種の交雑種として,ハイブリド・デ・ティモール,アラブスタ,カティモール,バリエダ・コロンビアなどがあります.
コーヒー豆の精製
コーヒーチェリーからコーヒーの生豆を取り出す工程を「コーヒー豆の精製」と呼びます.精製方法には乾式(乾燥式:非水洗式)と湿式(水洗式)の2種類があります.この作業は現地で行われます.
乾式精製方法:
収穫した果実を乾燥場に平らに広げて天日で干し,乾燥した果肉を機械的に取り除きます.モカ,マンデリンの産地とブラジルで行われています.
湿式精製方法:
外皮と果肉を機械的に取り除いた後,水槽に1-2日漬けて発酵させた種子を取り出します.これをパーチメントコーヒー*といいます.果肉の粘着質の部分が発酵することで綺麗に取り除くことができ,乾燥しやすくなります.コロンビアを含む多くの地域(ブラジル以外)ではこの方法です.
*注:パーチメントとはコーヒー豆の周りについている薄皮のこと
コーヒーのデータ
目:リンドウ目 Gentianales 科:アカネ科 Rubiaceae 属:コーヒーノキ属 Coffea 亜属:エウコフィア亜属 Eucoffea 種: C. arabica L. C. benghalensis Roxb. C. canephora Pierr ex Froeh. C. congensis Froeh C. liberica Bull ex Hiern. C. stenophylla G. Don
花:ジャスミンに似た香りの白い花 高さ:9〜12m,農園では実の採取に適した3-3.5m程度で管理されています. 生育条件:熱帯地方のサバナ気候や熱帯モンスーン気候のような雨季と乾季,または熱帯雨林気候の山岳地帯など昼夜で寒暖差が大きい気候が,火山性土壌を好み火山帯や高地が適しています.
生育:発芽後,3-5年で初めて実を付けたのち,50~60年間果実を付けます. 分布:多数の野生種がアフリカ大陸西部-中部からマダガスカル島と周辺諸島にかけて分布しています.栽培はは北緯25~南緯25度までの熱帯と亜熱帯の「コーヒーベルト」で気候と地質と商業生産の条件に合った地域. 原産地:アフリカ大陸中部(エチオピアのアビシニア高原,コンゴ,西アフリカ)
コーヒーの木(観葉植物)
最近は観葉植物としてコーヒーの木を見かけます.常緑で赤い実コーヒーチェリーを長期間(6-9カ月間)にわたって結実させることから室内で栽培されます.3〜5年で開花,結実します.アラビカ種が観葉植物として流通しています.
コーヒーについては長年をかけて,深く研究されているにも関わらず,美味しいコーヒーをのむのは難しいですね.成分も完全には解析されていません.
今日はこれまで.ではまた.