厳しかった下山道も森林地帯まで下りてくれば楽になります.空気もかなり濃くなって呼吸も楽になります.気温も頂上付近に比べ高いので服でジャケットなど脱いだりして汗をかかないようにします.
登りは空気の希薄化があるのでゆっくり登って体を順応させるところにポイントがありましたが,下りは空気は濃くなるので楽になりますが,その代わり筋肉の疲労が出てきますので,疲労対応がポイントになります.
また,バスなどの出発時間に追われるなど時間の問題や天候悪化などの問題なども出てくるかも知れません.
こういう場合に大切なことは冷静に状況を判断し,決断し,それを着実に実行することです.そして,今やるべきことに集中します.歩き続けるなら,小休止まで自分のペースを守って一歩一歩しっかりと正確にこなして行くことです.このように自分の考えと行動のコントロールができる様になると自信がついてきます.
さて,森林地帯を進んで行くと,いくつかの滑りやすい下り坂道があります.ここで気が緩むとケガをしやすくなります.また,落石注意などの斜面もありますので,周囲の環境に気をつけましょう.
登山道との合流点
しばらく進むと登山道との合流点です.6合目の富士山安全指導センターが懐かしく思えます.
ここで余力のある人は登山道に戻りもう一周することもできます.冒険家の植村さんが訓練で富士山を二度連続登ったと,どこかで読んだことがありました.いつか私も二度連続登りをしたいと思います.
余力を持って登れる様になってから,「ここからもう一周しようか?」と何度か思案したことがあります.でも,水と食料がどうしても足りないのです(途中で買えば良いのですが,流儀に反します).2日分の水と食料を持つとなるとバックパックが本格的な登山用になりますので別の装備になります.やはり,二度連続登りは計画と準備が無いと余力だけでは無理の様です.
さて,6合目の富士山安全指導センターを過ぎて一尾根越えれば長くて緩やかな登りです.最初に歩き出した道を逆に行きます.数時間前のことがはるか前のことに思えます.それは登山中に様々な事に出会ったため,時間感覚がずれてしまっているからでしょう.
時間感覚の変化と楽しい登山のために
小学生にとって一日が長く感じるのと同じです.人の脳は新しいことに出会って感心,感動すると時間感覚が変わります.1分1秒が長くなります.
この長くなる時間感覚が快感だったのか不快感だったのかで富士登山の評価が違ってきます.ある人には素晴らしい記憶として残り,また登ってみたいと思う場所になりますし,ある人にはもう二度と行きたくない場所にもなります.
ですから,楽しく登ることが大切なのです.そのために数回にわたって富士山の話をしてきました.安全にかつ楽しく登るには準備とコツが必要なのです.その部分に焦点を当てながらお話ししてきました.
5合目に着いたら汗と埃を落とし,持ってきたシャツと靴下を着替えてください.トイレとお土産物色を済ませたら,バスの出発までの時間は5合目の新鮮な空気を味わいながらのんびり数時間の行程を振り返って見てください.
その為にも下山開始を早めにして5合目での時間を1時間以上とれる様にしょう.慌てて都会に戻る必要は無いのです.
ここまで読んでくると初めの方でお話しした水と食料を多めに持って来たり,着替えを持って来たりすることの大切さがわかると思います.万一,天候不良で避難したときも水と食料と着替えがあればなんとかなります.
さて,次回は「富士登山途中で楽しめること」についてお話しします.今日はこれまで.ではまた.