山河海空

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富士登山:吉田口5合目から登り,御来光を山頂で仰ぐ【4】山頂とお鉢巡り

富士山頂

前回は念願の富士山御来光を仰ぐところまででした.日の出とともに辺りの景色がハッキリ見える様になり雰囲気がガラリと変わります.今までの疲れも消え去り,達成感と登ることから解放された自由感に満たされます.

この一瞬を味わうためにも是非晴天の登山を選んでください.悪天候で登ると良いことはありません.さて,登って来たところが久須志神社です.

富士八峰

富士山の頂上には8つの峰があります.富士八峰とか八神峰と呼ばれています.

  1. 剣ヶ峰 3,776m,二等三角点「富士山」

  2. 白山岳(釈迦ヶ岳) 3,756m,二等三角点「富士白山」

  3. 久須志岳(薬師ヶ岳) 3,725m

  4. 大日岳(朝日岳) 3,735m

  5. 伊豆岳(観音岳阿弥陀岳) 3,749m

  6. 成就岳(勢至ヶ岳・経ヶ岳) 3,733m

  7. 駒ケ岳(浅間ヶ岳) 3,722m

  8. 三島岳(文殊ヶ岳) 3,734m

順調に登れて,山頂で御来光を仰げれば帰りのバスまで時間の余裕があります.余力があればお鉢巡りができます.最高峰の剣が峰3776mに行くこともできます.その他の峰の脇を通ります.登れば登れますが登山道以外は崖などの突き出し部分があったりして非常に危険です.火口内も含めて絶対に近づかないように.

火口内側に崖崩れが発生する場合もあります.実際に大爆音をたてて大きな岩が崩れていくのを見たことがあります.どこまで安全でどこから危険という区域が明確でありませんので,ご注意ください.

[caption id="attachment_980" align="alignnone" width="300"]富士山 噴火口 富士山 噴火口[/caption]

お鉢巡り

お鉢巡りもとの場所に戻って来るので差し引き0メートルのハイキングになりますが,途中に起伏や岩場があります.急坂もあります.トータルで2時間程度かかります.写真を撮りながらゆっくり歩けば3時間位かかります.見どころはいくつかあるので単調な登り道より退屈はしないでしょう.水も余計必要になります.水が足りない人は高いですが山小屋で買っておいてください.途中に金明水,銀明水がありますが,ここで水は汲めません.

山頂は空気が薄いので息が苦しい人は無理しないでそのまま下山しましょう.下山にもそれなりの体力が必要です.バスに乗り遅れると帰れなくなります.

時計回りでお鉢巡り

山頂についてから左側にお店があります.休憩する人で混雑しています.この混雑を過ぎて少し行くと左側から下山道が始まります.大きな看板がありますので見失う事は無いでしょう.

下山道を降りずにそのまましばらく進むと浅間大社奥宮と郵便局に至ります.ここも混雑しています.そして,さらに進むと最高峰の剣が峰へ.見晴らしは良いのでどこへ向かうのかはよく見えます.最後の剣が峰への登りの坂道は急で滑りやすいので要注意です.それでも反時計回りで来ると急な下り坂なのでこちらから登って行く方が楽ですし安全です.以上が多くの人がたどる時計回りコースです.

反時計回りでお鉢巡り

私のお勧めは反時計回りです.反時計回りは登頂してきたところから右へ向かいます.もし,お店で休んだり下山道を確認した場合は来た道を戻ることになります.初めて登った人は下山道入口を確認しておけば帰る時に見落とさないという安心感があります.

さて,なぜ反時計回りが良いかと言うと理由が3つあります.一つ目は人が少ないこと.二つ目は最初に中央の火口を観察できるので自分の居場所と位置そしてこれから辿るコースの感覚がつかめること.そして,三つ目が最大の理由なのですが,北西側の斜面に富士山の影ができてそれを頂上から見ることができるためです.

これは朝の早いうちだけしか見えません.太陽の高度があがると富士山の影がどんどん短くなるからです.時計回りだと途中で見どころが多いのでこのスポットに着いた時には時すでに遅しということになります.

[caption id="attachment_979" align="alignnone" width="300"]富士山の影 富士山の影 05:42 撮影[/caption]

さて,富士山の影がですが,この現象はほとんどの人が気が付いていないと思います.見えるスポットと時間帯が限られているからです.良く晴れている日にはお勧めです.場所は剣が峰少し手前に麓を見渡せるところがあります.麓一面は森林地帯です.青木ヶ原樹海や朝霧高原方面を見下ろしています.降りる道はありません.数キロ先まで無人地帯です.

剣が峰

ここを過ぎると間もなく剣が峰に到着します.この辺りまで来ると時計回りの登山者達が集まっています.時計回りで来た人は,ここで折り返す人が多いです.

剣が峰には日本最高地点の三角点があります.3776mです.その少し先に実際の最高点の岩があります.実際上はその岩の上が最高点です.小銭が置いてあります.すぐ後ろは崖なのでそこで立つようなことはやめましょう.

実はもっと高い場所もあります.その向かい側にある観測所の建物です.ここは立ち入り禁止です.

浅間大社奥宮と郵便局方面へ向かう

浅間大社奥宮と郵便局方面に行くには急で足元の悪い坂を降りていきます.滑りやすいので気を付けてください.急坂を降りるコツはあるのですが,普段から練習していないと急にはマスターできません.でも,練習用にコツだけお教えします.基本は一歩を小さく踏み出すこと.重心を体の中心に置くことを強く意識すること.ポールがあればポールでバランスをとること.ポールを頼って荷重をかけるのは間違った使い方です.降りていく道のイメージをつくってから降りること.スキーが得意な人はこの感覚があると思います.スキーと似ています.

転ぶとケガをします.自信の無いうちはなるべく鎖につかまって一歩一歩小さいステップで降りて行きましょう.ここでも普通の登山と同様に登り優先です.譲り合いながら丁寧に降りていきましょう.

この地点が登山中で最も5合目から離れた場所です.もし,ケガをすると下山に支障がでますので,細心の注意をしましょう.

この先は多くの登山者がいますので,迷う事は無いと思います.ただし,速やかに下山しないと予約したバスや最悪は最終バスに乗れなくなります.見学などは速やかにこなして,時間は予定より早め早めにしていく方が安心です.

私の場合8時前に下山道を下り始めます.14時頃のバスに乗る前に顔や手を洗い,シャツや靴下を着替え,トイレに行きお土産を見ながら一服するなら,8時前の下山開始です.

午後になると天気がガスが発生して天気が急変することがあります.早め早めの行動をして置けば後で助かります.

次回は下山についてお話しします.今日はこれまで.ではまた.

次回へ続く(クリック)