山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

今,読書中の本: 数学と方法 野崎明弘 もっと数学が好きになるヒント

今,読んでいる本の中で,後まで心に残りそうな部分を紹介します. 書名:数学と方法 著者:野崎明弘 出版社:東京図書

良書です.数学との付き合いは長いのですが,はるか昔の高校生の時以来,どのように付き合っていけば良いのか最も悩まされた分野です.

思い立っては数学関連の本を読んでみるのですが,自分のレベルより難しすぎるか,簡単すぎて学ぶことが無いかのどちらかの連続です.

野山を楽々ハイキングしていると,いきなり断崖絶壁で重装備と知識経験が無いと登れなくなるようなイメージです.学び手から見ればいきなり無理だろ,そもそもなぜ登らねばならないの,ハイキングの様に簡単だと表紙に書いてあるのにと,騙された気分です.

とりあえず,知識経験不足を認めて,なぜ?と聞きたくても,自明のことだとかトリッキーな証明で何となく騙された気分です.わかってしまえば方便ということで,仕方なかったと思えますが,分からぬ人に方便を使われても,論理の学問だと聞かされているのにずるいなと思います.

この辺のところを曖昧にされて無理やり納得してしまう人は先にすすめますが,分からないものを分かったと仮定することのできない人は先にすすめなくなります.

本書を手にして数年ぶりに一歩進めたような気がしました.本書は正に上の疑問に丁寧に応じるところから始まっています.

第一章 数学と,どうつきあうか 1.1 数学をなぜ学ぶか 1.2 算数・数学が好きになれない理由 1.3 「わかる」ということ 1.4 わからない時は,どうすればよいか 1.5 付録---分数の割り算について 第二章 数学書を読む心得 第三章 定義の意味を理解する

と続きます.目次を見るだけでも興味が湧いてきます.実際に今までモヤモヤしていたことが,さっぱりしました.

全部克服しなくて良い

考えて見れば,数学は人類が数千年の歴史の上に積み上げてきた英知の塊です.それを一冊の本で理解できるわけがありません.要点だけざっと見て本質がわかる訳がないのです.

世界にはエベレストから始まり,富士山,日本一低い大阪の天保山4.53mまで含めれば,無数の山があります.それら一つ一つに楽しみがあり,世界中の全ての山を登った人はいないのです.全部の山に登る義務や必要は無いのです.

数学も同様だと思います.一つ一つ自分の実力にあった山を汗かき,楽しみながら昇れば良いのだと思います.江戸時代は数学は道楽だったと聞きます.仕事で必要の場合や受験で必要の場合でも,その必要範囲だけ学べば良いのです. そう考えると気が軽くなりました.

昨日の記事の中で,「博物館ですべての展示を見学すべきではない理由」を紹介しましたが,例えば今日はこの美術館の絵全てを観て,それぞれの画家の手法を学び,自分で同レベルの絵が描けるようにするぞ,と意気込んで美術館に出かけるのは無理というものです.一つの絵だけでも,印象派の絵を観るだけでも一日では無理なのです.

数学も同様だと思いました.本書を読んで数学との付き合い方が変わりました.

数学と方法のデータ

キーワード: 苦手の理由,わかってしまえばあたりまえ,慣れれば何でもない,じっくり考える,わかる,視覚的なイメージ,点数・進学・実益,点数優先はおろか,考えなければ解けない問題,むずかしいが良い問題,標準的な開放を理解していれば解ける問題,思考能力は衰える,わからない場合の忠告(ダランベール),粘り強く考える,分からないところは飛ばす,その問題からしばらく離れてみる,ひらめき,明らか 自明,ある視点からみれば明らかということ,数学が嫌いでないことは大事,分からなくても驚かない,わからないことは棚上げにする,0で割る話,どう決めても矛盾を来すので決めない,数学は数と図形,幾何学代数学解析学,言葉と論理,定義と証明で理論展開,命題,審議が原理的に明確,ならば,数学的帰納法,...

(以降は時間をかけて味わいながら進めます.ここまでの内容でも十分に時間をかけて考え,慣れて味わう必要があります.首記の通り,時間をかけて楽しく進めて行くべきだと思います.)

今日はこれまで.ではまた.