昨日はチャノキの話でした.今日はチャノキの葉を飲むお茶について,日本茶を中心にお話しします.
日本茶の歴史
お茶は奈良,平安時代に中国から遣唐使や留学僧によってもたらされました.815年「日本後記」が最も古い喫茶の記録とされています.
その後,鎌倉時代になって臨済宗の開祖栄西1141-1215()が喫茶養生記を著し以後禅宗とともに広まります.
戦国時代から安土桃山時代には武士にも好まれ,千里久(1522-1591)らによって茶の湯の完成となります.
現代の煎茶の製茶方法は江戸時代1738年に永谷宗円(ながたにそうえん)によってあみだされ宇治製法と呼ばれるようになりました.これが日本茶の原点と言われています.
約100年後の1835年には山本嘉兵衛(やまもとかへえ)によって玉露の製法が生み出されました.
明治以降の日本茶
明治初期に士族授産事業などを契機として牧の原台地などに集団茶園が形成されました.その後,農園は農民に継承されましたが,その時にできた流通,茶商,仲買人,茶問屋や各種関連機械の発明や製造は今でも産業システムとして機能しています.
当初は輸出品として生産されたお茶ですが,インド,セイロン紅茶が台頭し輸出量がへるとともに,国内消費が主になり,大正末期から昭和初期にかけて日本人の生活に根付く嗜好飲料となりました.
1990年になるとペットボトル入りの緑茶が誕生し現在では冷たいお茶も広く飲まれるようになっています.
お茶の種類
煎茶(せんちゃ)
生葉を熱処理し,葉の形状を整え,水分をある程度減らして保存可能にすることを「荒茶製造」といいます.30-40秒間蒸して揉むことで荒茶製造されたものが煎茶です.蒸すことで酸化酵素の働きを止めることができます.これを不発酵茶といいます.
煎茶の約2倍の時間(40-60秒間)茶葉を蒸してできたものを深蒸し煎茶といいます.味や緑の色が濃く出ます.
玉露(ぎょくろ)
新芽が2-3枚開き始めたらチャノキをヨシズやワラで20日間ほど覆い日光をさえぎって育てます.アミノ酸(テアニン)からカテキンへの変性が減るので渋みが少なく旨みが残ります.
玉露よりも短い1週間前後の被覆期間のものを,かぶせ茶といいます.
碾茶(てんちゃ)・抹茶(まっちゃ)
茶葉を蒸した後,揉まずにそのまま乾燥し茎や葉脈などを除いたものを碾茶といいます.
碾茶を石臼または微粉砕機で挽いたものを抹茶といいます.
玉緑茶(たまりょくちゃ),グリチャ,ムシグリ
精揉(最後に形を細長くまっすぐに整える)工程をせず,回転ドラムで熱風乾燥したものをいいます.撚れておらず,丸く,ぐりっとしています.
釜伸び茶(かまのびちゃ)
蒸さずに高温の釜で炒って熱処理し,精揉機で茶葉を細撚りに整えたものをいいます.
釜炒り玉緑茶(かまいりたまりょくちゃ)
釜で炒る処理と回転ドラムで熱乾燥たものをいいます.精揉しないので撚れておらず,丸く,ぐりっとしています.
茎茶(くきちゃ)
新芽の茎だけを抽出したお茶です.棒茶(ぼうちゃ)とも言われます.
芽茶(めちゃ)
玉露や煎茶の仕上げ加工工程で芽の先の細い部分を選別したものです.
頭(頭柳 あたまやなぎ)
やや硬化した葉を柳の葉のように扁平に揉まれたものをいいます.
粉茶(こなちゃ)
仕上げ加工工程でできた細かい粉だけを抽出したものです.
玄米茶(げんまいちゃ)
水に浸して蒸した玄米を炒り,番茶や煎茶などをほぼ同量に加えたものです.
ほうじ茶(焙茶)
煎茶,番茶,茎茶などを強火(200℃)で炒ってものです.
番茶(ばんちゃ)
番外茶の意味です.以下4種類あります. 1. 一茶番の遅れ芽を採取した「一番茶」 2. 三番茶を採取せず,秋に採取した「秋冬番茶」 3. 頭柳 4. 「京番茶」,「阿波番茶」など地元消費の茶
一番茶,二番茶,三番茶
茶葉は新芽を使います.その年の最初に摘み取った新芽を一番茶,二番目を二番茶などといいます.ちなみに一番茶のことを新茶といいます.
新茶は苦渋味成分のカテキンやカフェインが少なく,うま味甘味のアミノ酸が多いことに特徴があります.
八十八夜
立春から八十八日目の5月2日頃に摘み取られる新茶は茶摘みの最盛期にあたります.季節の節目で天気も良く,縁起の良い新茶とされています.
今日はこれまで.ではまた.