表題の本を読んでいる最中ですが,なかなか面白い内容なので紹介します.本書を手にしたときはあまりあまり期待していなかったのですが,出だしの部分を読み始めると,興味ある話題が流れる様に関連性をもって紹介されていきます.
流し読みのつもりで読み始めたのですが,ノートを取りながら読み,本ブログで紹介したくなりました.
冒頭の部分だけですが内容は以下の様に進みます.
戦国武将たちは植物を愛していた
信長も秀吉も家康もみな花を愛でていました.とりわけ家康は,今風に言えば「植物オタク」だったとのこと.
戦国武将たちは現代の植物学者が舌を巻くほど観察眼があったとのこと.ここまで読んだだけで物語の展開を知りたくなります.
家康と江戸
本書はすらすらと読み進められますが,内容は実に興味深いものばかりです.スゲが生えていたことから巣鴨,小菅がヨシが生えていたことから吉原,足立区の足立もアシから,そしてヨシとアシは同じ植物で,アシは悪しなので良しとしたことなど.
鎌田はガマからきていて,蒲焼はウナギを蒲の穂の様に串刺しにして焼いていたことから蒲焼ということなど,近くの大井も井草が多かったからなどと,話が流れていきます.
以上の植物は低湿地に生えているもので,江戸の東南部の低地の下町の代表的な植物だったこと.そして,西部の高台では水が少なくススキが生えていたこと,そのススキはカヤ(茅,萱)と呼ばれて茅葺き屋根になったとのこと.
茅場町という地名は萱を扱う業者が集まっていたことなど.また,千駄ヶ谷千の駄(荷駄)を積めるほどの萱がとれたこと.千駄木は千頭の馬に積むほどの薪がとれたところから来た名前であること.
ちなみに駄賃とは馬に約135㎏の荷駄を積んだ代金であることからきているとのこと.
断片的な知識がドンドン繋がっていきます.
貨幣としての米と土地の広さの関係
以上のように話がどんどん展開していくと断片的な知識が実は巧妙なシステムの一部だったことがわかってきます.現代の工業社会,情報化社会が様々な要素を複雑にシステム化されているように,当時の農業社会も巧妙なシステムが組まれていたことを知ります.
関心したのは,人が1年に食べる米の量が一石で,100石あれば100人が1年間食べていける米の量であること.
その10分の1が一斗,そのさらに10分の1が1升で,そのまた10分の1が1合だということ.人の1食分が1合ということですごくわかり易いです.
まとめると, 1合=10勺 1升=10合 1斗=10升 1石=10斗
そして面積の1反は当時一石の米が収穫できる広さで,人ひとりが一年間に食べる米の量という事です.
そして,現代でも使われている一坪が人が一日に食べる米をとれる広さだということ.当時のお金は米で面積にも密接につながっていたというのは興味深いことです.
むすび
まだまだほんの一部ですが,話は当時のリサイクル,軍事,薬品,芸術,園芸,家紋などドンドン繋がっていきます.
ひとことで言うと興味の尽きない本です.興味ある方はぜひご一読ください.
今日はこれまで.ではまた.