山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

秋の七草(ななくさ) 2

ススキ

昨日は秋の七草

みなえし,ばな(ススキ),きょう,でしこ,じばかま,ず,

の頭をとって,おおきなふくは(大きな服は)秋の七草と覚える方法を学びました.

今日はそれぞれをもう少し詳しく見ていきましょう.

オミナエシ(女郎花)

黄色い花が鮮やかです.現代ではあまり見られなくなりました.名前の由来は諸説ありますが,「おみな」は女の意味です.

オミナエシ

オミナエシのデータ

目:マツムシソウ目 Dipsacales 科:オミナエシ科 Valerianaceae 属:オミナエシ属 Patrinia 種:オミナエシ P. scabiosifolia 学名:Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.(1820) 和名:オミナエシ(女郎花) 別名:チメグサ,敗醤(はいしょう)は生薬名

開花:8-10月に黄色い花 草丈:60-80cm 生育条件:日当たりの良い草地 分布:日本(沖縄を除く),中国から東シベリア 花言葉:約束を守る

オバナ(ススキ)

動物の尾に似ていることから尾花と呼びますが,和名はススキです.

昔は「茅(カヤ)」と呼び茅葺屋根(カヤブキヤネ)の材料になりました.家畜の飼料としても使われました.茅場(萱場)はススキ野のことです.

ススキのデータ

目:イネ目 Poales 科:イネ科 Poaceae 属:ススキ属 Miscanthus 種:ススキ M. sinensis 学名:Miscanthus sinensis Andersson.(1855) 和名:ススキ(芒,薄) 別名:オバナ,カヤ(茅,萱),

開花:夏から秋,茎の先端に長さ20-30cmの十数本に分かれた赤っぽい色の花穂をつける 草丈:1-2m 生息条件:日当たりの良い山野 分布:日本,朝鮮半島,中国,台湾,北米

キキョウ(桔梗)

山上憶良の歌で「朝貌の花」がキキョウと考えられてます.絶滅危惧II類 (VU)となっています.

キキョウ

キキョウのデータ

目:キク目 Asterales 科:キキョウ科 Campanulaceae 属:キキョウ属 Platycodon 種:キキョウ P. grandiflorus 学名:Platycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC. (1830) 英名:balloon flower

開花:6-9月,青紫色で星型の花,花冠は広鐘形で五裂,径4-5cm,雄しべ,雌しべ,花びらはそれぞれ5本 草丈:40-100cm 葉:互生で長卵形,ふちは鋸歯,下面はやや白みがかっている 生息条件:山野の日当たりの良い所 分布:日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。

ナデシコ(撫子,瞿麦)

ナデシコカワラナデシコの異名です.カワラナデシコ(Dianthus superbus L. var. longicalycinus)が正式な和名です.また,ナデシコ属の植物の総称として「ナデシコ」が使われます.ナデシコ属の植物は約300種が知られています.

ヒメハマナデシコシナノナデシコは日本にのみ自生しています.日本には他にカワラナデシコハマナデシコも自生しています.

カワラナデシコのデータ

目:ナデシコ目 Caryophyllales 科:ナデシコ科 Caryophyllaceae 属:ナデシコ属 Dianthus 種:エゾカワラナデシコ D. superbus 変種:カワラナデシコ var. longicalycinus 学名:Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) Williams 和名:カワラナデシコ 異名:ナデシコヤマトナデシコ,常夏(とこなつ) 基変種:エゾカワラナデシコ (D. superbus L. var. superbus)

花:6-9月,淡紅色の花は茎の頂端に付き,直径4~5cm.がく片は3-4cm,苞(ほう)は3-4対あります.花弁は5枚で先が糸状に細裂し.雄蕊は10本,雌蕊は花柱2本.白色花もあります. 草丈:30-50cm 茎:根から叢生し節が膨らむ 葉:対生,線形-線状披針形.長さ4-7cm,先端は鋭く尖り基部は茎を抱きこむ(抱茎).無毛で粉白色.葉柄は無し. 生息条件:日当たりの良い草原や河原に生育.路傍や山地の斜面,海岸の砂浜等でも生育可能. 分布:本州以西四国,九州に広く分布.沖縄諸島(久米島渡名喜島)に少数が自生.他に朝鮮,中国,台湾.

(日本固有種のデータ)

ヒメハマナデシコ(日本にのみ自生)のデータ

目:ナデシコ目 Caryophyllales 科:ナデシコ科 Caryophyllaceae 属:ナデシコ属 Dianthus 種:ヒメハマナデシコ D. kiusianus 学名:Dianthus kiusianus Makino 和名:ヒメハマナデシコ

花:4-9月,集散花序で茎の頂端に1-6個.紅紫色の花弁は5枚,苞(ほう)の先が短い針状になります. 草丈:10-30cm 葉:茎葉は対生,狭長楕円形-倒披針形で長さ1-3cm,先端は鋭く尖っています 生育条件:日当たりの良い海岸の砂浜や岩場 分布:本州(和歌山県),四国(愛媛県),九州(長崎県熊本県大分県,宮崎県,鹿児島県,南西諸島(種子島-徳之島,伊江島西表島))

シナノナデシコ(日本にのみ自生)のデータ

目:ナデシコ目 Caryophyllales 科:ナデシコ科 Caryophyllaceae 属:ナデシコ属 Dianthus 種:シナノナデシコ D. shinanensis 学名:Dianthus shinanensis (Yatabe) Makino 和名:シナノナデシコ 別名:ミヤマナデシコ

花:7-8月,紅紫色で茎頂に多数つきます.直径は約2cm,苞は2対,花弁は5個あります.花弁は広倒卵状です. 草丈:20-40cm 茎:茎の断面は四角状でふくれた節. 葉:広線形で対生.長さ4-7cm.葉の基部は赤みを帯び基部が茎を抱いています. 生育条件:山地の河原や荒れ地,礫地など 分布:本州中部

以上,秋の七草の「おおきな」まででした.明日は「ふくは」のフジバカマクズハギについて見ていきます. 今日はこれまで.ではまた.