本書はカラーのイラスト満載で眺めるだけでも面白い本です.脳そのものの説明から始まって人の生活と脳のかかわりまで丁寧に解説してあります.イラストも分かりやすい様に工夫されています.
脳についていろいろ知っていた情報が本書に総括されているので手元に置いておくのに手ごろな良書です.
そもそも脳について本を読んでいる「自分」は自分の脳が読んでいるわけですから,不思議なことです.自分の考えや感情,記憶やイメージも全て脳内の化学反応だし,今キーボードを叩いている指も脳からの指令でやっているわけです.
人は生まれた時から死ぬ瞬間まで全てを脳内で処理しているのですから,自分にとって世界そのものなわけです.でも,日頃脳の存在を意識していません.脳の延長が「自分」であり,自分を通して世界につながっているのです.
この原理をよく考えて見れば,考えるということはどういうことなのか?喜んだり,悲しんだり,怒ったりしているのはどういうことなのか?昔の記憶とは何なのか?などを今までとは別な観点から見ることができます.
脳のことを「知らず」に,あるいは脳のことを「考慮」せずに「考える」というのは砂上に楼閣を建てるのと同じくらい虚しいことの様に思えてきます.
今こういうことを書いている「自分」が実は脳の中での化学反応だとすると,いったいどうなっているのでしょう.混乱してめまいがします.--- これも脳の反応です.
わからなくなりました.
わからなくなったら,一旦原点に戻るために,本書のカラーイラストをじっくりと眺めてみます.手元に置いておいくのに手ごろな一冊です.
笠倉出版社 万物図鑑シリーズ 美しい脳図鑑 篠浦伸禎監修 木村泰子著
今日はこれまで.ではまた.