山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

伊奈忠次という人とその一族の事業である江戸の水害対策の話

江戸城 散歩の楽しみの一つにオーディブルを聴くことがあります.おすすめのタイトルという紹介リストの中に門井慶喜氏の「家康,江戸を建てる」があったので,あまり深く考えずスマホの中にダウンロードしておきました.歩きながら聞いてみるとなかなか面白く感じました.家康が江戸に移るいきさつから始まります.そして次の話は江戸の水害対策の話で伊奈忠次が登場してきます.

ちょうどこの人物について調べていたところなのでグッドタイミングでした.なぜこの人を調べていたかというと郷土の歴史を調べながら歩いていると,この人と一族の業績が各所にでて来ます.とくに水路や新田開発など.なぜなのだろうという疑問がありました.

郷土史の中で江戸時代をみると,この一族の名前があちこちに出てきます.今の埼玉県を中心に関東各地そして飛騨高山に至るまで活動範囲が広いのです.車や電車の無い時代にこんなに業績を残したとは驚きます.

家康,江戸を建てる

ところで門井慶喜氏の「家康,江戸を建てる」は良書だと思います.260年以上も続く江戸時代の初期に活躍した人物達,一人ひとりに焦点を当て,その業績と現代の東京のあり方との関わりを物語風に仕上げています.

本書の始めの方で,なぜ伊奈忠次が重用されたのか明らかにしています.家康には武官はたくさんいたけれど優秀な文官がすくなかったとのことです.本書は史実の下調べと考察が深くなされています.最後まで面白く拝聴しました.

江戸へ移る家康と秀吉の有名なエピソードから始まり,江戸の地ならしとして水害対策,新田開発からはじまります.その後は貨幣の鋳造事始めと今の日銀,銀座の場所について.水は在っても美味しい飲み水の無かった江戸に武蔵野から水路をつくる話.江戸城築城のまつわる資材の話など興味深い話ばかりです.是非ご一読あるいは御一聴ください.

以下,Wikipediaから抜粋

伊奈忠次のデータ

武蔵国足立郡小室(現・埼玉県北足立郡伊奈町小室)及び鴻巣において1万石を与えられ,関東を中心に各地で検地,新田開発,河川改修を行った.利根川や荒川の付け替え普請,知行割,寺社政策など江戸幕府の財政基盤の確立に寄与しその業績は計り知れない.関東各地に残る備前渠や備前堤と呼ばれる運河や堤防はいずれも忠次の官位「備前守」に由来している.また,伊奈町大字小室字丸山に伊奈屋敷跡がある. 諸国からの水運を計り,江戸の繁栄をもたらした忠次は,武士や町民はもとより,農民に炭焼き,養蚕,製塩などを勧め,桑,麻,楮などの栽培方法を伝えて広めたため,農民たちからも神仏のように敬われていたという.

伊奈忠治のデータ

忠治は父,兄の仕事を引き継いで関八州の治水工事,新田開発,河川改修を行い,荒川開削,江戸川開削に携わった.江戸初期における利根川東遷事業の多くが忠治の業績であり,鬼怒川と小貝川の分流工事や下総国,常陸国一帯の堤防工事などを担当した.

利根川東遷事業

利根川東遷事業は,流域の沼や湿地帯からの新田打ち出し,水上交通網の確立,利根川を北関東の外堀とし,東北諸藩に対する備えとするなどの利水面と,流域や江戸を水害から守る治水面の目的を持っていると考えられている. 家康は伊奈忠次関東郡代に任じ,関東周辺の河川改修にあたらせた.以後,忠治,忠克と伊奈氏3代により,利根川常陸川河道(銚子河口)への通水が行われた.

今日はこれまで.ではまた.