冬の鉢植の代表としてよく知られているシクラメンは花の形がなんともとらえようが無い形をしていますね.葉を見るとハート型をしています.
ハート形の葉は葉として茎の接続部が中央にあるのでバランスがとれています.葉先が重みで下がり難く,葉に溜まった水は茎を伝わって根の方に運ばれるようになっています.一方,花の方はやや下向きになっています.
名前の由来
和名で「カガリビバナ」という名前はかがり火の様に燃えて見えるところから名付けられました.また,「ブタノマンジュウ」は英名 sow breadの和訳ですが,パンが饅頭になっていて面白いですね.どちらもあまり広まらず,シクラメンとして知られています.読み方によってはキクラメンとされる場合もあります.
学名のCyclamenは花茎が受粉後に螺旋状になることから来ています.ギリシア語のキクロス(kiklos:螺旋,円)からですが,英語のCycleなども同語源です.
芳香シクラメン
布施明の歌で「シクラメンのかほり」が有名ですが,シクラメンに香りはほとんどありません.もともと良い香りで無かったっ為,品種改良で香りがしない方向に選抜されてきました.
それでは歌と違うということで,芳香シクラメンが研究されてきましたが,うまく行きませんでした.1996年(平成8年),埼玉県農林総合研究センター園芸支所(現園芸研究所)でバイオテクノロジー駆使してとうとう芳香シクラメンとして,「孤高の香り(紫)」,「麗しの香り(ピンク),「香りの舞い(濃紫)」を作り出しました.
さらにこれらから,DNA変異を起こさせ,「天女の舞(サーモンピンク)」,「絹の舞(白)」,「みやびの舞(赤紫)」が作り出されました.
ここまでやるとなんだか生命の原則や倫理を越えている様にも思えますが,「シクラメンのかほり」の歌の影響力によるものです.
シクラメンのデータ
目:サクラソウ目 Primulales 科:サクラソウ科 Primulaceae 属:シクラメン属 Cyclamen 種:シクラメン C. persicum 学名:Cyclamen persicum Mill. 和名:シクラメン,カガリビバナ,ブタノマンジュウ 英名:Cyclamen
花:秋から春に白や赤・黄・桃色の花が咲きます. 葉:ハート形をした柄の長い葉には白斑があります. 品種改良:黄色や二色,フリンジ咲き,八重咲き,芳香シクラメン,ガーデンシクラメンなどは戦後に開発されました. 生産:日本では冬の鉢植えとして生産量が一位の花です. 原産地:地中海沿岸,ギリシャ,チュニジアなど
今日はこれまで.ではまた.