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セミの季節,セミの謎 3

セミ

セミの話3回目です.昆虫としてのセミの特徴はなんといっても鳴くことです.あれほど大きな音を出す昆虫はほとんどいません.なぜ音を出すのかは前回にお話ししましたので,音を出す仕組みと生態についてお話しします.

セミの構造

セミは雄だけが鳴きます.オスの成虫の腹(腹腔)には音を出す筋肉と膜,そして音を共鳴させる共鳴室が備わっています.セミの腹の大部分が太鼓の様に空洞で正に太鼓腹になっています.

道端に落ちているアブラセミが大抵上向きで転がっていますが,腹の部分が空洞で羽側に重心が偏っているためです.触ると慌てて飛んで逃げますので,あの状態の方が平面では楽なのでしょう.

大きな音を出すためにはパワーが必要です.これはスピーカーと同じで出力で音量が決まります.そのパワー源は樹液から得ています.セミの樹液接触した後に糖分が残っていることから,セミは師管液を吸っていると推測されています.

師管液とは光合成で得られた有機物でショ糖やアミノ酸が高濃度に含まれています.また,土由来のカリウムマグネシウム等も含まれている植物の栄養源です.

雌の場合は音を出さない代わりに産卵がありますので,腹は大きな卵巣で満たされ,尾部には硬い産卵管があります.産卵時は産卵管を枯れ木にさし込んで産卵します.枯れ木の上を移動しながら次々と産卵します.

孵化と幼虫

産卵されたセミの卵は翌年の梅雨時に孵化します.幼虫は半透明の白色で,枯れ木の表面に出てきて脱皮します.そして,数年間地中に潜って成長します.

地中では木の根から樹液を吸って成長するのですが,この間に数回脱皮します.

羽化

羽化が近づいた幼虫は竪穴を掘って地上近くまで来て地上の様子を伺います.晴れた夕方に地上に出てきて樹に登ります.暗くなると天敵が減るので羽化を開始します.

白い成虫が殻を破って出てきて,夜の間に羽を伸ばし朝には外骨格も固まって体色もつき,飛び立てる様になっています.

ただし,羽化後数日間は大音量で鳴くこともできないし,交尾もできず,性成熟までには数日かかります.

今日はこれまで.ではまた.