山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

セミの季節,セミの謎 2

セミ

セミの話2回目です.セミは不思議な生物です.なぜあんなに長い間土の中で生活しているのでしょう?そして,せっかく成虫になったのに間もなく死んでしまいます.

変態

昆虫は普通成長するに従い,次の様に変化していきます.

卵→幼虫→蛹(サナギ)→成虫

これを完全変態と言います.

ところが,セミの場合は

卵→幼虫→成虫

と変化していきます.サナギの段階を飛ばして成虫化します.これを不完全変態と言います.

長い幼虫の間は土の中で暮らし,成虫になる為に土から出てきます.今の季節だとセミの抜け殻が木の周りに残っています.殻を破り捨てて成虫と成り飛べるようになります.

アブラゼミの幼虫期間は6年間です.短いものでも3年,長いものでは17年もかかります.

成虫になると3日しか生きないと言われますが,実は1カ月位は生きています.ただし,家で飼ったりすれば数日で死んでしまいます.

成虫の寿命が短い訳

それにしても,成虫になってから寿命が短いのはなぜでしょうか?それは成虫になる目的を考えると答えがあります.成虫になる目的とは子孫を残すことです.

雄雌が出会い,卵を残せれば目的達成なのでそれ以上生きる必要は無くなります.雄のセミが大音量で鳴くのは雌に居場所を知らせるためです.成虫になるまでは地中で成長するのは天敵から逃れて生きながらえるためと考えられます.

そして,成虫になると地上にでて相手を探し,卵を産んで生涯を終えます.成虫になるのは最後のひと仕事で生涯の大部分を地中で暮らす生物と考えれば寿命はそれ程短くないとも言えます.

考えて見れば花も咲いているのは数日だけです.これらは進化の過程で見つけ出された生物の生き残り戦略なのでしょう.

周期ゼミ

アメリカ北部にはジュウシチネンゼミという種がいます.17年ごとに発生し,それ以外はいません.出会いの為,同期して17年毎に成虫になるとは不思議です.

同様に南部には13年ゼミというのもいます.17年ゼミと13年ゼミの両方が生息する地域はほとんど無いとのことです.

多分,時期外れに生まれても仲間が居ないので,絶えてしまったのでしょうね.

17,13は素数なので素数ゼミとも呼ばれます.なぜ,素数かと言うと素数であれば3年,4年周期のセミと時期が重なりにくい為と言われています.重ならなければ邪魔が少ないという事で,前回のセミの棲み分けと似た理由だと考えられます.

成虫時に出会える確率を極力増やす戦略をとった方が種として生き残りやすいという戦略の結果が素数ゼミとして現れている様ですね.

今日はこれまで.ではまた.