山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

地図と地球と天球とMitaka

これから行く場所がどの辺にあるのか,例えば津軽へは北へ向かって何日,姫路へは大阪を抜けてさらに西へ何日だとか,自分のいる場所から街道を通ってどちらの方向に何日の旅かを知っていれば実用上十分でした.

現在では地図や地図アプリを使って位置を確認します.GPSという緯度経度を正確に測るシステムを使うことで,自分の位置が地図上に正確に表示することができるようになりました.

天体観測の世界ではつい先ごろまでは,星座の位置関係で星を探したりしていましたが,技術の進歩によってスマホでも手軽に星を見つけるアプリが利用できる様になりました.

また,最近の天体望遠鏡では,コンピュータを備えていて,星の座標を入力すればその方向に望遠鏡が向けられるようになっています.しかも,星の動きに追従して観測できるようになっています.

これらの技術に欠かせないのが,座標と呼ばれる位置を数字で正確に表す仕組みです.地図では北緯,南緯,東経,西経などの緯度と経度です.

星の位置も地図と同じ様な決め方をしています.空に見える星や太陽も天球という仮想の球面上に張り付いているものとみなして地球儀の様に緯度,経度で位置を決めます.

これを赤道座標系といいます.その他にも座標の表示方法がありますが,詳しくは以下のサイトが参考になります.

AstroArts https://www.astroarts.co.jp/alacarte/kiso/kiso02-j.shtml

座標系

地平座標系

地上から見てどちらの方向にどの位の高さにあるのかという表しかたです. 方位は南を基点(0゚)とし,西回りに360゚までの数字です. 西の空45°の高さなら,「方位90°,高度45°」と表します.

赤道座標系

地球の自転を基準とした座標系です. 赤経春分点(太陽が天の赤道を南側から北側へ横切る点)を基点(0゚=0時)に,東回りに15゚=1時,15'=1分,15"=1秒として24時までの数値であらわします. 赤緯は赤道面を基点(0゚)とし,南(-)北(+)にそれぞれ90゚までの数値です.

赤経=α (またはR.A.= Right Ascension) 赤緯=δ (またはDecl.= Declination)

α= 3h45.0m δ= -80゚30' などと表示します.

黄道座標系

黄道面を基準とした座標系を黄道座標です.天球上で1年間の太陽の通り道を黄道と呼びます.惑星や月など太陽系天体の軌道や位置をあらわす際に使われます.

黄経は春分点を基点(0゚)として東回りに360゚までの数値であらわします.黄緯は黄道を基点(0゚)とし、南(-)北(+)にそれぞれ90゚までの数値であらわします.

黄経=λ 黄緯=β

銀河座標系

銀河面と呼ばれる基準面を基点とした座標系です.

いて座Aと銀河北極とを結ぶ大円と銀河面との交点を基点(0゚)として東回りに360゚までの数値であらわします.

銀経=l 銀緯=b

以前からこれら座標系の関係は3次元空間なので,感覚的に把握するのが難しかったのですが(特に銀河座標系),最近Mitakaという東京天文台で公開している無料ソフトで操作しながら感覚的に理解できることがわかりました. 宇宙を駆け巡る様な感覚で数時間操作してみると.広大な宇宙の構造を立体的につかめるようになってきました.最近のシミュレーションソフトすごいですね.これは神の視点です.しかも,自宅のPCで使えるなんて夢のまた夢のようです.

江戸時代の伊能図ができて,それが世界地図に組み込まれることで,地球上にある日本の姿が正確に理解できるようになりました.同様にMitakaを操作することで,星空が立体空間として感じられ,宇宙のなかでの地球の位置がわかるようになった気がします.

https://www.youtube.com/watch?v=jM02C3uSBXY 宇宙の大きさを体感できる動画(Mitaka 版)

https://www.youtube.com/watch?v=MzVduP6ud9Y 4次元デジタル宇宙ビューワー "Mitaka"(ミタカ) がすごい件。

参考

Mitaka https://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/index.html#Download

国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト https://4d2u.nao.ac.jp/

今日はこれまで.ではまた.