山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

「ー」「、」「,」「。」「.」の使い方について

辞書 昨日のブログで外来語の末尾にーをつけるかどうかについてコメントしました.テン,マルも含めて少し詳しくみていきます.

ーについて

まず,「ー」の名前ですが,長音符号または長音記号といいます.長音符号の公式的な使用方法を見てみましょう.

文部科学省 平成三年六月二十八日

外来語の表記 内閣告示第二号 一般の社会生活において現代の国語を書き表すための「外来語の表記」のよりどころを、次のように定める。

3 長音は,原則として長音符号「ー」を用いて書く。 〔例〕 エネルギー オーバーコート グループ ゲーム ショー テーブル パーティー ウェールズ(地) ポーランド(地) ローマ(地) ゲーテ(人) ニュートン(人)

注1 長音符号の代わりに母音字を添えて書く慣用もある。 〔例〕 バレエ(舞踊) ミイラ

注2 「エー」「オー」と書かず,「エイ」「オウ」と書くような慣用のある場合は,それによる。 〔例〕 エイト ペイント レイアウト スペイン(地) ケインズ(人) サラダボウル ボウリング(球技)

注3 英語の語末の‐er, ‐or, ‐arなどに当たるものは,原則としてア列の長音とし長音符号「ー」を用いて書き表す。ただし,慣用に応じて「ー」を省くことができる。 〔例〕 エレベーター ギター コンピューター マフラー エレベータ コンピュータ スリッパ

文化庁

外来語の表記 訓令,告示制定文 平成3年6月28日 内閣訓令第1号 『外来語の表記』の実施について

政府は,本日,内閣告示第2号をもって、『外来語の表記』を告示した。今後,各行政機関においては,これを現代の国語を書き表すための外来語の表記のよりどころとするものとする。

(内容は内閣告示第二号と同じ)

JIS Z 8301:2008 規格票の様式及び作成方法

付属書G 文章の書き方,用字,用語,記述符号及び数字

6.2.2 英語の語尾に対応する長音符号の扱い

英語の語尾に対応する長音符号の扱いは,通常,次による。なお,英語の語末の -er,-or,-ar などは,ア列の長音とし,長音符号を用いて表すものに当たるとみなす。

a) 専門分野の用語の表記による。 注記 学術用語においては,原語(特に英語)のつづりの終わりの -er,-or,-ar などを仮名書きにする場合に,長音符号を付けるか,付けないかについて厳格に一定にすることは困難であると認め,各用語集の表記をそれぞれの専門分野の標準とするが,長音符号は,用いても略しても誤りでないことにしている。

b) 規格の用語及び学術用語にない用語の語尾に付ける長音符号は,表 G.3 による。

表 G.3−外来語の表記に語尾の長音符号を省く場合の原則

原則 例 a)その言葉が 3 音以上の場合には,語尾に長音符号を付けない。 エレベータ(elevator) b)その言葉が 2 音以下の場合には,語尾に長音符号を付ける。 カー(car),カバー(cover) c)複合の語は,それぞれの成分語について,上記 a)又は b)を適用する。 モータカー(motor car) d)上記 a)∼c)による場合で,長音符号を書き表す音(例 1),はねる音(例 2),及びつまる音(例 3)は,それぞれ 1 音と認め,よう(拗)音(例 4)は1音と認めない。 1 テーパ(taper)2 ダンパ(damper)3 ニッパ(nipper)4 シャワー(shower)

長音記号のまとめ

となっています.文部科学省 平成三年六月二十八日 外来語の表記 内閣告示第二号を基に文化庁が各行政機関向けに内閣訓令第1号を出しています.従って,内容も用例も同一です.

JIS Z8301については工業規格として広く使われてますが,「長音符号を付けるか,付けないかについて厳格に一定にすることは困難であると認め,各用語集の表記をそれぞれの専門分野の標準とするが,長音符号は,用いても略して誤りでないことにしている。」

となっていて上記3つとも整合が取れています.要するにどちらでも正解で慣用的なものがあればそれを使っても良い.迷ったら「ー」を付けなさいという事です.

ただし,省く場合の原則というのがあり,3音以上の場合は付けない,2音以下の場合は付けるという事です.

「、」「,」「。」「.」について

特に正誤はありません.ただし,以下の傾向があります.

教科書・公共機関:「,」「。」 理系書籍・論文:「,」「.」 マスコミ・Webの文章:「、」「。」

テン,マルの使いか方で,どの業界に近いかわかりそうですね.ただし,バラバラに使用せず,統一性は維持したほうが良いと思います.「,」「.」は横書きの時,見栄えが良いし,アルファベットや数字との相性がいいですね.ただし,縦書き時には無理があります.縦書きは郵便物のあて名とか年賀状位しか使わなくなりました.

当ブログの当面の方針

ちなみに,JISは「,」「。」です.そして,Z8301 付属書G4.3 引用符号で「」は使わず,“”を使うことになっています.

なるべくJISを尊重したいのですが,「」のデザイン良く目立つので捨てがたく,Web上で使用する日本語では「」を使っていくつもりです.

「。」についても,よく使う箇条書の数字で, 1。 2。 3。 とは書けず, 1. 2. 3. となるので,「,」「.」の組み合わせを続けて使用していくつもりです.引用時は原文の「、」「。」を使う場合もあります.

今日はこれまで.ではまた.