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Enrico Fermiとフェルミ推定

現在知られている元素の数は全部で118あります.その最後の118番目はOg oganesson オガネソンと名づけられたのはつい最近の話です.その時一緒に,113番目元素にNh nihoniumという名前が付けられ大きなニュースになりました.

http://www.nishina.riken.jp/113/ ニホニウムについては理化学研究所の特設ページに詳しく説明があります.

さて,質問です.キリ番原子番号100の元素をご存知でしょうか?

答え:

Fm Fermium フェルミウムです.

フェルミウム - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%A6%E3%83%A0

イタリア生まれの物理学者,Enrico Fermiにちなんで名づけられました.1952年11月1日に行われた最初の成功した水素爆弾実験で生成され,発見されました.

米ソ冷戦と核開発の副産物ですが,研究所の実験室では不可能な核実験という国家レベルのプロジェクトにより,核に関する知見が深まりました.

物理学者Enrico Fermi エンリコ・フェルミ

フェルミ統計力学,核物理学および量子力学の分野で多くの業績を残しました.中性子による元素の人工転換の実験で,多くの放射性同位元素を作り,1938年のノーベル物理学賞受賞に至っています.

フェルミ推定 Fermi estimate

身近なところでは現在でも,フェルミ推定という考え方があります.これは彼の得意とした概算方法です.

多くの学者,技術者はデータに頼る傾向が強く,膨大なデータを集めることに注力し過ぎて,本質を見失いがちです.もちろん,多くのデータを集めるのに越したことはありませんが,膨大な費用や時間をかけてもなかなか実用性のある結果がでないのも事実です.

彼の方法は限られたデータ量でも使い方を工夫することで実用的な推定値を算出できるとしています.

彼の推定方法の例として,「アメリカのシカゴには何人(なんにん)のピアノの調律師がいるか?」という問題は有名ですが,これは単なる例と解法を示した一例にすぎず,何にでも応用できます.

https://www.youtube.com/watch?v=0YzvupOX8Is

例えば, 1. 駅前でパン屋を始めたら,毎日何人のお客さんが来るだろうか? 2. 看板を付け替えたら,売り上げはどのくらい上るだろうか? 3. 宣伝でティッシュを配ったら何箱でどのくらいの売り上げ増につながるか? 4. 新しく橋を造ったらどのくらいの通行量になるか? 5. スポーツジムに通ったら,医療費にかけるお金をどのくらい節約できるか? 6. 毎日散歩したら,体調不良の日がどのくらい減るだろうか?

など,いくらでも応用できそうです.日頃からそういう推定の習慣をつけておけば,無駄が減り,計画的に先を読んだ生活ができそうです.

そもそも,役に立たない,または応用できない数学や物理学があるとすれば,それは変態的なものだ,くらいに思うのが健全な考え方かも知れません.

フェルミ推定 Fermi estimate Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9F%E6%8E%A8%E5%AE%9A

Enrico Fermiのデータ

Enrico Fermi(1901-1954) 生誕地:イタリア,ローマ 死没:アメリカ合衆国,シカゴ 研究分野:物理学 主な業績:フェルミ統計,ベータ崩壊理論,連鎖反応の制御 ノーベル賞:1938年,ノーベル物理学賞 https://www.youtube.com/watch?v=aAp9dO2RCZc

https://www.youtube.com/watch?v=iwt86y0981M

https://www.youtube.com/watch?v=g3SKBwzTtv0

今日はこれまで.ではまた.