山河海空

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雪をとかす薬,融雪剤について

東京に積もった雪もほとんどとけて無くなっています.公園などを散歩すると階段やスロープなどに白い粒々がこぼれていました.

これは融雪剤だと思います.雪を解かすために使う薬品です.道路の橋や陸橋など凍り付いては困るところに散布しておくと雪がとけやすくなります.不思議な薬品ですね.

融雪剤の種類

融雪剤は大きく分けて二種類あります.黒いものと白いものです.黒いものは,太陽熱を吸収してその熱で雪をとかすものです.太陽が出ないと効果はありません.

白いものは雪の凝固点を下げてとかすものです.雪は水でできています.0℃付近より温度が上がるととけて水になります.このとける温度を薬品で低くしてやります.気温が零下で液状なので,少しづつ流れていきます.このように融雪する方法を一般的に凝固点降下融雪法と呼んでいます.

一般的に塩化カルシウム CaCl₂という薬品が使われます.ただし,雪が降り続けている最中にどんどん融かしていくほどのパワーはありません.雪が止んだ後,残雪がはやくとけて無くなるという程度の融雪です.

庭に撒いても良いか

塩化カルシウムは塩素を塩化ナトリウムとよく似た性質があります.従いました,海岸付近の塩害と同じように,鉄がさびやすくなります.また,植木等も影響を受けますので,注意が必要です.

凝固点降下 Freezing-point depression

難しい言葉ですが,学校では「沸点上昇,凝固点降下」と習います.熱力学云々というと難しくなるのですが,簡単にいうと,溶液に何かを溶かすと沸騰する温度が高くなり,氷になって固まる温度が下がるということです.

つまり,水は0℃で氷になり,100℃で沸騰するのに,砂糖を溶かすと0℃でも凍らず,100℃より高温にならないと沸騰しないということです.

式で表すと,沸点上昇,凝固点降下とも同じ式で,

ΔT = Kf・m ここで, ΔT:凝固点降下の大きさ Kf:定数 m:溶質粒子の質量モル濃度

です.

上の式の意味は温度の沸点上昇/凝固点降下の度合いΔTは溶けているもの分量に比例するということです.

学校で習う式はもう少し,複雑ですが,Kfを分解しているだけです.このKfをモル凝固点降下と呼んでいます.

Kf(モル凝固点降下) = M・R・Tf²/ΔHf ここで, M:溶媒の分子量 R:気体定数 Tf:溶媒の凝固点 ΔHf:溶媒の凝固熱(潜熱)

ですが,ここではあまり気にしなくて良いでしょう.

今日はこれまで.ではまた.