山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

未来学と第三の波

波

昨日の終戦の日では過去と未来の真ん中で70余年前に想像もできなかった今を思えば,70余年後の予想はほとんど当たらないだろうという事をお話しました.

未来学

実は未来学という学問があります.その中で有名なアルビン・トフラーという人の著書に「第三の波」という本があります.

この本は1980年に出版されましたが,37年以上昔に今の情報化社会の到来とそれによってもたらされる社会の変化を見事に予想しています.

当時,私はこの本に感銘して聖書の様に何度も何度も読み返し,さらに原書まで買って必死に読みました.

第二の波

本書の中で印象的だったのは指を機械で落とした工員が悲しむ場面があるのですが,指を失ったことがショックなのでは無く,それによって仕事を失うことで悲しんでいるのです(30年前の記憶なので不正確かも知れません).

実際に私も職場で指を機械で落とした事故の当事者に会い,原因究明のレポートをつくる仕事を事故が起こる度にしていました.指切断は特別な事故というわけではありませんでしたが,再発防止のために,どうしてそうなったかを事故直後にインタビューするのは心が痛みました.

年季の入った現場の先輩達は過去にケガをしたり,指が無いことがむしろ勲章の様に誇っていました.今から思うとものすごく非人間的に思えるのですが,もう数年続けていたら色に染まっていたかも知れません.

当時の社会の非人間性やシステムの矛盾を大いに感じていたのですが,どうしてこうなっているのか理由が分かりませんでした.

そして,その答えが本書にありました.第二の波である産業革命の影響が大量生産,大量流通,大量教育,マスメディア,大衆娯楽,大量破壊兵器などの拡大を主軸とし,それらによってできた社会システムが効率化を優先するために人を機械扱いするようになったからでした.

第三の波

そして,第三の波が脱工業化社会を実現し,社会が情報化することによって矛盾が解消されて社会変化が訪れると述べていました.

私はこの本を読むことで心の中で情報化社会の訪れを心待ちにするとともに,転職,転業をし,当時情報産業の中心と思えた半導体業界に飛び込みました.その会社はシリコンバレーにあったユニークな装置をつくる会社でした.1985年のことです.

本書を読み返すことは今はしていませんが,自分の進路にこれほど影響のあった本は他にはありません.

アルビン・トフラーのデータ

Alvin Toffler:1928年10月4日-2016年6月27日 アメリカの評論家,作家,未来学者。

アルビン・トフラーの著書:

Future Shock. Bantam Books. (1970). ISBN 0-553-27737-5.

The culture consumers. Random House. (1973). ISBN 0-394-71848-8.

The Third Wave. Bantam Books. (1980). ISBN 0-553-24698-4.

Previews & Premises. William Morrow & Co. (1983). ISBN 0-688-01910-2.

Powershift: Knowledge, Wealth and Violence at the Edge of the 21st Century. Bantam Books. (1990). ISBN 0-553-29215-3.

War and Anti-War. Warner Books. (1995). ISBN 0-446-60259-0.

Revolutionary Wealth. Knopf. (2006). ISBN 0-375-40174-1.

どれも良い本です.邦訳も数種類でています.

今日はこれまで.ではまた.