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九里四里うまい十三里:栗よりうまいサツマイモ,十三里とはサツマイモのことです

サツマイモ

味覚の秋が近づいてきました.九里四里うまい十三里という言葉があります.これはサツマイモのことで,江戸時代に川越がサツマイモの名産地で,江戸から約十三里ありましたので,サツマイモのことを別名,十三里と呼んでいました.

これは言葉遊びで,九里+四里 = 十三里と「栗よりうまいサツマイモ」の意味をかけた洒落になっています.辞書で十三里と引くとサツマイモのこととあります.

でも本当は

文化年間に川越産の芋を使った焼き芋屋の宣伝コピーとして十三里が生まれたのですが,江戸と川越の距離は伊能忠敬大日本沿海輿地全図」の実測で10里34町33間半(約43km)です.9里(栗)+4里(より)=13里の語呂合わせで強引に十三里とされました.

サツマイモの歴史

サツマイモがフィリピンから中国,琉球種子島などを経由して薩摩藩で栽培され始めたのは18世紀の初頭のことです.

当初は薩摩藩領内からの持ち出し禁止でしたが,1734年、青木昆陽薩摩藩から甘藷の苗を取り寄せ,江戸小石川植物園、下総の馬加村(現千葉市花見川区幕張町),上総の九十九里浜の不動堂村(現:九十九里町)において試験栽培し,東日本に広まりました.

サツマイモの普及が後の天明の大飢饉(1782年)で多くの人々の命を救いました.

サツマイモの調理方法

石焼き芋やふかし芋が代表的な食べ方です.60℃程度で長時間加熱するとサツマイモ内のデンプンが酵素によって糖化され甘味が増します.

葉や茎も葉野菜として食べることができます.葉はおひたしやてんぷら,茎は煮ものや佃煮てんぷらなどでも食べられます.

私はやはり子供の頃食べた石焼き芋が一番美味しく思えます.今では見かけませんが,石焼き芋の石の加熱は薪を燃やしていましたので,焼くと同時に煙で燻された半焦げの燻製の様な香りが忘れられません.

サツマイモのデータ

階級なし:キク類 Asterids 目:ナス目 Solanales 科:ヒルガオ科 Convolvulaceae 属:サツマイモ属 Ipomoea 種:サツマイモ I. batatas 学名:Ipomoea batatas L. 和名:サツマイモ(薩摩芋),カンショ(甘藷) 英名:Sweet potato

原産地:中南米

生産量(世界): 1. 中国 80,522,926トン(75.9%) 2. ナイジェリア 3,318,000トン(3.1%) 3. ウガンダ 2,707,000トン(2.6%) 4. インドネシア 1,876,944トン(1.8%) 5. ベトナム 1,323,900トン(1.2%) 6. タンザニア 1,322,000トン(1.2%) 7. インド 1,094,000トン(1.0%) 8. 日本 1,011,000トン(0.95%)

生産量(国内): 鹿児島県(約40%),茨城県,千葉県,宮崎県の4県で80%を占めています.

さつまいもの日:10月13日(十三里が由来)

今日はこれまで.ではまた.