立冬 末候 11月18日(月)-11月21日(木) 金盞香(きんせんかさく)
「金盞香」の意味には少し込み入った内容になっているので,簡単に「水仙が咲く」意味とされることが多いです.間違えではありません.
少し探っていきます.
湧いてくる疑問点と解説
- キンセンカ(金盞花)という花があるけれど,ここでは「キンセンカ」では無くて,なぜ「スイセン」なのか?
- 金盞とはなにか?盞とは小さい酒杯,金盞は金杯のようなイメージ.音読み:サン,訓読み:さかずき.
- 香をさく(咲く)とよんでいるけど...
千利休の高弟 山上宗二記(1588‐90)の記す所によれば,「花之事、十月に御茶の口切候 〈中略〉 水仙花の事也、金盞銀台、此花何も冬専に用る」
とあり,水仙を金盞が銀台に載っている様子の花として「金盞」とするようです.オレンジ色の金盞花(キンセンカ)も花の形が金盞に似ているということから名づけられていると考えます.
さて,スイセンの花期は11月-3月で,ちょうど花開き香りが漂い始める頃です.このことを「香」の一文字で短く風流を加えて表現したのでしょう.分かりやすく翻訳して読みを付けると「さく(咲く)」とか「こうばし(香ばし)」となるのだと考えます.
ここまで説明しておきながら,以下の説もありますので紹介しておきます.
紅葉の晩秋に咲き香る「金盞」。それって何の花?七十二候「金盞香(きんせんかさく)」
https://news.goo.ne.jp/article/tenkijp/trend/tenkijp-17531.html
盞(さん) さかずき 小さい酒杯
確かに,ニホンズイセンの花期は12-2月とあり,今の時期には咲いていません.七十二候は新旧暦に関係なく季節を表現しているはずですが,時々現代の季節とずれているものを見かけます.
土地によるものなのか,気候変動によるものなのか,文化的表現としてずれているのか,解釈が間違っているのか,ひとつひとつ解明していくと面白い研究になると思います.
件のスイセンにしても,本当にニホンズイセンなのか,他のスイセンの可能性は無いのか,キンセンカなのか?時代考証するには時間と手間がかかります.
まずは,山上宗二記を調べ,原文を読まなくては...
山上宗二記
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8A%E5%AE%97%E4%BA%8C%E8%A8%98
参考
二十四節気(にじゅうしせっき) 七十二候(しちじゅうにこう)
二十四節気(にじゅうしせっき)
小寒,大寒,春分など1年を24分割して,それぞれに名前をつけています.
1年は12カ月なので,24分割すると,1節気は半月(2週)間となります.
七十二候(しちじゅうにこう)
二十四節気を「初候」,「次候」,「末候」の3つに分けたものが七十二候です(24x3=72).
.一侯は約5日(365÷72≒5.1)となります.
江戸時代の天文暦学者 渋川春海 が古代中国の七十二候を日本に合うように「新制七十二候」を表しました.
四立(しりゅう)
「立」のつく立春・立夏・立秋・立冬は四立といいます.
この日が各四季の始まりです.
二至二分(にしにぶん)
「至」のつく夏至・冬至,「分」のつく春分・秋分を合わせて二至二分といいます.
各四立の中間点です.
八節(はっせつ)
四立と二至二分を合わせて「八節」といいます.1年にある8つの節目です.
1年を8つに分けるということは,各四季を前半と後半に分けることになります.
四立で各季節が始まり,二至二分で前半と後半に分けられます
1年を八分割するので,各四季が前半と後半に分けられます.
8_冬後半: 冬至 から の前日まで
八節を3分割して二十四節気
八節の1節をさらに3分割すると二十四節気となります.
太陽黄経と二十四節気の関係
1_春前半
2_春後半
3_夏前半
4_夏後半
5_秋前半
6_秋後半
7_冬前半
8_冬後半
少しわかりにくいですが,眺めているとだんだんわかってくると思います.
今日はこれまで.
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