山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

スギ花粉と花粉症

花粉症の季節になりました.今日は雨が降っているのに,そこそこに厳しいです.花粉症は国民病と言われるほど一般的になってきました.特に代表的なのが,スギ花粉です.今日は憎きスギ花粉についてのお話です.

スギ花粉の特徴 スギの花は風媒花と言って,おしべの花粉媒介を風に載せてめしべに届ける仕組みの花です.虫に運ばせる虫媒花とは違い,虫を引き寄せる花のも目立つことなく,香りや蜜も必要ありません.

花粉の大きさは30-40㎛で,形状は楕円形で先端が少し突出した紡績型をしています.

花粉を風に載せるということは,大部分の花粉がめしべに届かず,空気中に花粉が飛散するということで,空中を長時間漂い続け,遠方まで届きます.到達距離は数㎞以上,条件次第では数百㎞以上にもなるそうです.従って,近くにスギの木が無くても花粉症に苦しむことになります.

花粉症が社会問題となって数十年になります.1970-80年ころから花粉症になる人の数が急増してきました.これは戦後間もなく植林したスギが樹齢30年を迎え,以来空気中を飛散する花粉量が数倍に増えたためと考えられています.

スギは有用な木材資源になりますので,農林水産省が大規模スギ植林を精力的に行ったのは正しい行政だったと言えます.ただし,近年,木材需要も低くなり,これほど多くの人達が苦しんでいるのに,いまだにスギを植林し続けているのは理解しがたいものがあります.

数十年前の日本は公害で大気も水質も土壌も汚れ放題でした.それでも年々の努力の結果,ほとんどの公害は克服されました.花粉症も公害です.一見自然の様に見えますが明らかに人為的な公害です.これほど社会に多くの害をもたらしている公害は国家的損失です.林野庁ばかりでなく,厚生省なども責任をもって対応に当たっていただきたいものです.

今日はこれまで.ではまた.