山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

富士登山:吉田口5合目から登り,御来光を山頂で仰ぐ【2】登山開始

富士山頂

前回は富士登山に必要な持ち物と考え方についてお話ししました.今回は行程についてお話しします.その前に大切なことを話します.大袈裟に聞こえるかも知れませんが,登山で無理は絶対に禁物です.無理しても楽しいことはありませんし,命を危険にさらします.ダメだと思ったらすぐに計画を中止したり変更しましょう.これが大原則です.

天候に逆らわない

まず初めに大切なことは天候に逆らわないことです.天候に恵まれない時は素直に中止しましょう.

天気が悪い時は5合目から山頂へ行き再び5合目に戻るまで,風雨の中を 十数時間以上場合によっては20時間近く坂道を歩くことなります.もし雷が落ちれば隠れる場所はほとんど無いので,運悪く自分にあたる確率はかなり高いと考えて下さい.

また,晴れている日でも天候が変わって雨風になることが多いです.昔のことですが,富士山に登り始めた頃どうしても御来光を仰ぎたくて毎週末に登り続けてやっと5週目で完璧な御来光を仰げました.

それ以来,天気が悪い場合は登山を中止しています.ひと夏の山開きは8週間です.毎週いつでも行ける様に心の準備をして,数日間雨の無いタイミングを見計らって出かるようにしています.そういう計画の立て方以来,安定して快適に楽しむことができるようになりました.

ここまで注意して日程を選んでも午後には雨に降られることもあります.簡易雨具は数時間しか効きません.完璧な雨具は荷物が多くなるし,暑くなると内部から濡れます.

また,バックパックも防水カバーを装着しないと中まで濡れます.私のバックパックは下部にカバーが付いていますので,そのカバーと持参のポンチョをパックパックごと着て濡れを防ぎます.

ゆっくり登りましょう

登山は駅の階段とは違います.登っても登っても一気に頂上には登れません.数時間登り続ける訳ですから持続性のあるペースで登りましょう.大抵の人は途中から急速にペースダウンします.グループで登る時でも自分のペースを守りましょう.無理をすると高山病になり,途中で下山することになります.

登りはじめに,ゆっくり登っていると後から何組にも追い越されます.でも,数時間後には追い付きます.その内の何組かは上の方で高山病で岩にひざまずいてお祈りしています.富士山は霊験あらたかな山ですから,長い時間お祈りすれば回復しますが,一度ペースを崩すと全快することは無く下山まで苦しみます.

富士登山ラソンの人達なら別ですが,普通の登山者は3,000メートルを超える頃からペースが落ちます.3,500メートルでは何もしなくても息苦しくなります.呼吸を整えながら暑くなく,寒くないペースでゆっくり登りましょう.

バスで5合目到着してすること

トイレは有料です.水もチョロチョロです.手洗いの水は貴重なので節約しましょう.ここで飲み水を汲むことはできません.他の人も使う貴重な水だし,時間もかかる上,衛生的ではありません.ペットボトルの水を買う事はできます.上に登る程物価が高くなるので,もし持参しなかった場合は必要量を仕入れておきましょう.これはすごく重要です.

バスから降りて気温が低いことに驚いて上着を取り出す人がいます.あらかじめ用意しておきましょう.少し涼しいくらいならそのままでも構いません.直ぐに順応します.歩き出して暑くなり,汗をかいて脱ぐ人が多いです.

歩き始め

5合目でトイレ休憩など終えたら出発です.ここであまり気合を入れないこと.先は長いし,半時間くらい緩い下りが続きます.登りに来たのにいきなり下りから始まって道に不安に思う人も多いですが,森林地帯に入るまで進みます.途中左下には山中湖が見えます.

ここは楽に歩けますが,ペースは上げないで,息を切らさず,ゆっくり歩きながら体を高地に順応させます.しばらくすると泉ヶ滝分岐点があります.標識があるのですが夜暗いと見逃すかも知れません.道の右端を歩けば見逃しません.分岐点では右の登り坂を登ります.

ここから登りですが,登りのペースはさらにゆっくり歩きます.ここはこれからの長い急な登りの準備と考えて下さい.呼吸優先で息は絶対に切らさないように.汗もかかないペースを守りましょう.

富士山安全指導センター

分岐点から森林地帯を歩いているととスピーカーからの放送音が聞こえてきます.これは富士山安全指導センターで流しています.ここでは当日の登山情報を知ることができます.わからないことがあったら質問してみましょう.センターが6合目です.仮設トイレのようなトイレがあります.

さて,ここから本来の富士山らしくなっていきます.長くなったので今日はここまでです.次回はいよいよ登頂と下山のお話です.

今日はこれまで.ではまた.

次回へ続く