山河海空

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富士登山:吉田口5合目から登り,御来光を山頂で仰ぐ【1】持ち物

富士山頂

富士登山が30回を超えました.そのうちの9割以上が山開き中に富士山吉田口5合目を夕方出発し,翌日15時に5合目に戻り,新宿までバスで帰る方法です.

いつも同じ時期の同じ時刻に登るので何度も何度も同じ体験を繰り返します.今ではチョットハードな散歩としてルーチン化できています.でも,甘く見てはいけません.今回を含め,数回に分けて自分の経験と考え方をお話しします.

持ち物(必須)

防寒具

山開きは7月で暑い盛りです.いつも荷物をパッキングしながら,本当にこんなジャケット必要なのだろうか?と思いつつ到着すると持ってきて良かったといつも思います.

7月の始めは真冬と同じです.特に明け方に頂上に早めに着いて待っているときの冷え込みは厳しいです.

登りだけで数時間かかるので,運動で発熱し続けるのは難しいです.すこし厚着してゆっくり登るのが良いと思います.

私はネックウォーマーも持参します.休憩するとき風が強いと急に冷えます.その時ネックウォーマーがあると顔周りが保護できます.手袋も必要です.一部ですが岩場もあります.

最低でも2リットル必要です.足りない時は山小屋で高価な水を買う事になります.

私は2リットルのペットボトル1本とお茶のペットボトルを2本(300㏄)を持っていきます.行きのバスで飲む分1本も含めてあります.空ボトルになったら2リットルのボトルから移して手元で直ぐに飲めるようにしておきます.

山頂を巡って5合目まで降りて来た時,最小でも約500㏄位残ります.それで顔や手,首回りを洗います.5合目に水道はありません.有料のトイレでも水はチョロチョロと出るだけです.

下山道は晴れた日が続くと砂塵が舞うので身体中砂だらけになります.ひどい時には鼻の穴や耳の中まで入ります.手もベトベト.ここで最後の500㏄がリフレッシュの水になります.

間違ってもペットボトルを凍らせて持って行かないように.凍らせて持っていくと,翌日も凍ったままなので飲めません.

食料

おにぎり大3個と甘味菓子 おにぎりはノリなどついていると食べにくいしゴミが出ます.私はこぶし2個位の巨大握りに梅干し2個と塩をやや多めにして,一個づつサランラップで包んだものを3個持っていきます.

おにぎりはサランラップの一部をはがし,2-3口食べたら,また丸めてしまっておきます.休憩毎の楽しみになります.何度食べてもお腹いっぱいになりません.

登山中は食感が変わっています.塩味がしません.でも,塩分は必要です.

登山中は本当にお腹が減ります.そして,山小屋での食事は少なくてすごく高いです.一度に2食分食べても足りません.ラーメンと書いてあってもぬるいお湯のカップヌードルです.

甘いものも休憩時に必要です.ただし,寒いので甘さが感じられないので,チョコレートはあまり美味しくありません.アメかウエットタイプのクッキーが良いと思います.乾燥した食べ物は口がパサパサで食べる時水を多く必要とします.私はオールレーズンが美味しいと思います.普段は食べないのですが,なぜか運動中は美味しいです.

ライト

ヘッドランプ,小型懐中電灯,予備用小型ライト ヘッドランプは必須です.頭に着けず,首から下げて使います.その方が楽です.パワーはそれほど必要ありません.バッテリーが長持ちするものが良いです.

使用する際は目が暗闇に慣れる様に最小パワーで照らし,しかも下を向けておきます.もし,月が出て足元が見えれば消します.ライトが強いと照らしたところ以外は全く見えなくなります.登山は洞窟探検と違うので不必要な照明は控えましょう.他の人にも目潰しになって迷惑となります.

休憩後に荷物の忘れ物点検を習慣付けましょう.ライトで休憩した場所に何も残っていないことを確認します.暗いのと寒くて疲れている環境ですからケアレスミスが起こりがちです.次の動作に移る時,必ず点検する様にしましょう.バックの口やポケットのチャックなどもきちんと閉まっているか確認します.

雨具

晴れていても絶対に必要です.晴れていてもかなりの確率で雨に降られます.山の天気は変わりやすいし,富士山頂は上昇気流で局所的な雲もできます.また,朝になって風が南になると海からの湿った空気が雲を形成しながら流れてきますので,下山道下部で雨に当たり易くなります.私はポンチョを持っていきますが,念の為,カッパも用意してあります.風があると横から振り付けられるのでポンチョでは不足です.

私の場合,基本的に低気圧など広域の雨天では中止しますので雨具はそれほど重装ではありません.雷などが発生したときは逃げ場が無いので悪天候での登山は危険です.

幅広で硬めの軽登山靴が良いです.運動靴だとソールが剥がれることがあります.また,下山道が尖った小石なので側面が破れるかも知れません.下山道では乾燥が続いた後だとザクザクと小石の中に潜るので,靴の側面は傷みます.また,靴の中に小石が入ってきます.

タオル

汗拭きと日焼け防止の為に首回りにかけておきます.帰り道は天気が良いと灼熱地獄に近い状態です.また,前を歩く人がいると,風向きによっては口鼻から粉塵が入りますので,一時的なマスク代わりに使います.ずっとしていると呼吸が苦しくなるかも知れません.

日焼け止めクリーム

晴れた時は日焼け確実です.特に鼻の頭,両頬骨周辺,耳まわり,日の当たる側の首まわり,あごの先端部は入念にクリームを塗っておきます.腕など露出部も忘れずに.紫外線は日本で一番強い所です.

持ち物(重要)

着替え シャツと靴下

5合目に戻った時,水で身体や足を拭き,シャツと靴下を替えるのが楽しみになります.途中雨に降られるとバッグの中まで水浸しになることもありますので,入念にビニール袋に入れておきます.頂上で膨らむのできちんと空気を抜いておきましょう.

ティッシュペーパー

いろいろ使いますので,多めに持っていきましょう.無いと困ります.下山道で鼻の中が砂だらけになることがあります.

サングラス

紫外線が強いので雪目なります.目を守りましょう.

持ち物(持っていくべき)

単眼鏡または双眼鏡

晴れた時,休憩中に夜空の星を見るのに使います.特にスバルが素晴らしい.天の川は視力が悪い私でも眼鏡なしで見えます.景色より夜空で使う方が多いので単眼鏡が良いです.双眼鏡だと重いので.

カメラ

気温が低いので,バッテリーの消耗が早いです.予備バッテリーをお忘れなく.携帯やスマホは緊急用に使いますので,たくさん撮影する場合は専用のカメラを持って行った方が良いでしょう.

電話充電用バッテリー

電話は貴重なのでバッテリーをセーブしましょう.予備バッテリーは持っていくべきです.

その他予備バッテリー

ライト用の乾電池はあると便利.バッテリー切れの人が何人かいるのであげると喜ばれます.でも,自分のライトに余裕がある場合のみです.私は3個持っていますので2つ故障しても大丈夫です.3時頃になると空が白み始めるのでライトは嘘のようにいらなくなります.

目薬

大事な目に砂ぼこりが入った時の為.水道が無いので,目薬は意外とあると便利です.裏技であまりお勧めしませんが,鼻が乾燥したとき,目薬を鼻にさすとリフレッシュします.ただし,自己責任でお願いします.

テーピング用テープ

万一,膝に支障が出た時,テーピングで応急処置します.山頂で歩けなくなると大変厄介なことになります.靴が壊れた時,応急処置できます.装備が壊れた時も応急処置に利用できます.自分のばかりだけでは無く困っている人がいたら助けてあげましょう.

持ち物(あると便利かも)

登山棒

5合目のお土産屋さんで売っている登山用の棒です.途中で記念の焼き印を押したりします.上りでは役に立ちません.むしろ邪魔になります.下山では滑りやすいので役立ちます.でも,普段使っていないとなかなかうまく使えず,何度か転びながら下山することになります.

登山用ポール

下山時にポールーが2本あると使い慣れた人にはすごく便利です.バランスが取れるので体力をセーブできます.登山時は折りたためるので,バックパックに取り付けられます.

下山時は先端のゴムキャップを取って使用しないと外れて失います.それなりのメーカーのものであれば金属の石突の部分は減りません.ただし,雪輪の部分は樹脂なので傷だらけになります.

持ち物(多分不要なもの)

酸素缶詰

持って来たり途中で買ったりする人が多いです.一時的に楽になりますが,あの缶だけではとても頂上は無理です.諦めて下山する時に一時的に役に立つかも知れません.そもそも,登りのペースが急すぎるのです.駅の階段のように一気登ってしまえる山ではありません.高山病で頭痛や吐き気がしたら,諦めて下山しましょう.登り続けて良くなることはありません.もっと苦しくなります.グループで登る時も決して強がらずに自分のペースでゆっくり深呼吸しながら登るのが基本です.

敷物

風が強い時にはどこかに飛んでしまいます.上に行けば行くほどみんなで輪をつくって休むような場所は無くなります.山頂にはありますが,適当な石を椅子代わりに座った方が良いと思います.休むときは落石が無い安全な場所を探して休みましょう.上に行けば行くほど道は狭くなり,急になるので,落石には要注意してください.

まとめ

以上が最小限の持ち物です.不要なものを持っていくと重くなって疲労が増えます.バックパックの出し入れも面倒になります.何をどこで使うかよくイメージして置けば詰め方に無駄が無くなります.また,私は腹側に小さなバッグを肩掛けしていますので,ほとんどの必需品はそこから出し入れします.バックパックは防寒具以外は普段使わず,緊急用倉庫みたいな使い方をしています.

夜登っているとかなり遅い時間なのに下山している人を数組見かけます.恐らく何かの支障があって下山が遅くなったのでしょう.その時に水や食料が無く,電話もライトもバッテリー切れだとヒモジイ思いをします.5合目に戻っても朝まで何もありません.

もし,必需品を多めに持っていれば困っている人に分けることもできます.大抵一組二組くらい助けたり助言したりして感謝されます.実際に困っていたり不安になっている人はすごく多いのです.

私も最初の頃は失敗して助けられたことがあります.本当にありがたかったので,困っている人にはなるべく力になってあげるようにしています.

必需品は決して省いたり忘れたりしないでください.無いと本当に困ることになるかも知れません.そして困る人が多いので,大けがでもしない限り,多分助けてもらえません.頭が痛い,気分が悪いと申し出ても,余程重篤でなければ,休んでからすぐ下山してください,と言われるだけです.

富士山は素晴らしい大自然を見せてくれますが,その反面準備不足の人には厳しい場所になります.

今日はこれまで.ではまた.

次回へ続く