アルカロイドとは天然由来の有機化合物で窒素原子を含んでいる物質の総称です.ほとんどが塩基性です.アルカロイドの名前も,「アルカリのような」と言う意味からきました.
なぜここで取り上げたかと言うと,動植物が自ら作り出し,他の動植物にとって有害な化学物質である毒物の代表だからです.毒は使い方によって薬となりますので,古代から広く利用されてきました.生命活動とは切っても切り離せない関係にあります.
また,大雑把に見れば,アミノ酸,ペプチド,タンパク質,ヌクレオチド,核酸,アミンのような生物を構成している物質もアルカロイドと見なせます.また,メスカリン,セロトニン,ドーパミン等のアミンもアルカロイドの特別な形態と考えられます.そもそも生物が自らつくり出しているものだから,似ているのは当たり前と言えば当たり前です.
アルカロイドは約数千種ありますが,分類は明確ではありません.便宜的に以下の群に分けられることもあります.
真正アルカロイド 不完全アルカロイド ポリアミンアルカロイド ペプチドおよび環状ペプチドアルカロイド 偽アルカロイド
アルカロイドは植物体内の各種アミノ酸から生合成されます.シュウ酸・リンゴ酸・クエン酸・酢酸・酒石酸などの有機酸の塩(例えば,クエン酸塩、リンゴ酸塩など)の状態で各々の体内に保持されています.それらが何らかの要因で分解,分離,もしくは抽出されてアルカロイドに変わります.
アルカロイドの既知の機能のほとんどは生体防御目的です.生物がいったいどうして毒で身を守る仕組みをつくりあげていったのか不思議です.
この生物毒を人類は薬としても利用してきました.
薬として使われるアルカロイド
アトロピン:ベラドンナなどのナス科植物に含まれる猛毒成分です.パーキンソン病,サリン,VXガス中毒の治療に使われます.
カフェイン:コーヒー豆,緑茶,紅茶,カカオに含まれます.中枢神経興奮作用があります.
キニーネ:キナの皮に含まれます.マラリアの特効薬として使われます.
コカイン:コカから抽出されます.中枢神経興奮作用があります.
コルヒチン:痛風の特効薬です.
ニコチン:タバコ草に含まれます.喫煙による摂取では人体への影響は弱いですが,依存症になる傾向があります.
モルヒネ:アヘンより抽出されるオピオイドです.中枢神経抑制や鎮痛効果があります.
毒を薬として利用してしまう人類は恐るべしですね.ところで,今日はコーヒー飲みました?お茶は?
https://www.youtube.com/watch?v=FsHwo72VBrA 身近に生えている危険な有毒植物TOP10
今日はこれまで.ではまた.