752(天平勝宝4)年の4月9日,奈良・東大寺の大仏の開眼供養が行われました.開眼供養というのは,仏像や仏画に眼を入れ霊を迎える儀式のことです.
東大寺の大仏は日本でもっとも大きく有名な大仏が完成した日です.孝謙(こうけん)天皇,聖武太上(しょうむだいじょう)天皇,光明(こうみょう)皇太后らの臨席のもと,インド僧の菩提僊那(ぼだいせんな)によって供養がとり行われました.
聖武天皇の発願で制作が開始されたのが,天平17年(745年)ですから7年かけて完成したことになります.のべ260万人が工事に関わったとされる事業でした.
東大寺大仏
東大寺盧舎那仏像(とうだいじ るしゃなぶつぞう)と言います.あまりに有名なので,奈良の大仏(ならのだいぶつ)として知られています.奈良県奈良市にある東大寺大仏殿(金堂)の本尊です.
盧舎那仏というのは華厳経に説かれる仏で,サンスクリットの「Vairocana ヴァイローチャナ」のことで,密教における大日如来(Mahāvairocana マハー・ヴァイローチャナ)と同等です.
華厳経は400年前後に中央アジアで成立し,中国経由で日本へもたらされた仏教経典ですが,60巻本,80巻本,40巻本の3種類の漢訳本があります.そのうち日本にもたらされたのは60巻本(六十華厳,旧約)と80巻本(八十華厳,新約)です.60巻本では盧舎那仏(るしゃなぶつ),80巻本では毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)と記されています.
大仏造立の理由
聖武天皇が位に付いていた天平時代(8世紀前半)天然痘(疫病)や旱魃(かんばつ),飢饉,大地震などの自然災害や,藤原広嗣の乱など,社会不安が続いた時代で,国を安定させたいという願いから全国に国分寺,国分尼寺を造りました.東大寺は日本の総国分寺という意味があり,大仏の造立と開眼供養はそのハイライト的イベントとなりました.
今日はこれまで.ではまた.