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ネオジム磁石と磁石発明大国日本

最近では100円ショップでも売っている強力磁石の「ネオジム磁石」は1982年5月に住友特殊金属(現日立金属)の佐川眞人らによってつくられました.

磁石は鉄を磁化することによってできますが,鉄では強い磁石がつくれません.コバルトを主成分にすれば磁力は強いのですが,希少かつ高価で,偏在(コンゴザンビアなど)しているため安価に大量生産ができません(サマリウムコバルト磁石など).

鉄の磁力が弱い理由は原子間の距離が近いためで,ホウ素などの原詞半径の小さい元素を加えることで鉄の原子間距離を広げ,強力な磁石ができるのでは?というアイデアから開発に至りました.

その結果として完成したネオジム磁石は主相はNd2Fe14B,ネオジム,鉄,ホウ素が主成分となっています.

磁石発明大国日本

日本は磁石の発明に貢献しています.

1917年 --- 本多光太郎らのKS鋼 1931年 --- 三島徳七のMK鋼 1937年 --- 加藤与五郎,武井武のフェライト磁石 1971年 --- 金子の鉄-クロム-コバルト磁石 1970年代 - 松下電器産業(現・パナソニック)のマンガンアルミ磁石 1982年 --- 佐川眞人のネオジム磁石

ネオジム磁石の特徴

ネオジウム,鉄,ホウ素を主成分とする希土類磁石(レアアース磁石)です. 磁束密度が高く,非常に強い磁力を持ちます. 機械的に壊れやすい欠点があります. 磁力の温度変化が大きい欠点があります. 加熱すると熱減磁を生じやすいが,ジスプロシウムを添加すると保磁力が向上します. 錆びやすい欠点があります. ニッケルでめっきすることで防錆できます. キュリー温度は約315℃(588 K)です.

ネオジウム(原素)のデータ

独名:Nelodym ネオジム 英名: neodymium ネオジウム 原子番号:60 元素記号:Nd 分類:ランタノイド 銀白色の金属で,常温,常圧で安定な結晶構造は,複六方最密充填構造 磁性:常磁性,反強磁性 (< 20 K) 密度(室温付近):7.01 g/cm3 融点での液体密度:6.89 g/cm3 融点:1297 K, 1024℃ 沸点:3347 K, 3074℃ 融解熱:7.14 kJ/mol 蒸発熱:289 kJ/mol 熱容量(25℃): 27.45 J/(mol·K)

今日はこれまで.ではまた.