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外国為替レート観測と考察 外国為替レートの動く理由と動き方の基本

2017-10-18 水曜日のドル円(米ドル/日本円の為替レート)の動きを見てみましょう.いまどちらに向かっているか想像できますか?上に行けばドル高円安で,下に行けばドル安円高です.一週間後にどうなっていると思いますか?

外国為替レートの動く理由と動き方の基本

ドル円レートは主に日米の経済状況の力関係で動きます.基本的に,米国の状況が良くなればドル高円安方向へ,悪くなればドル安円高方向へ動きます.米国と日本の関係は綱引きの様にどちらかが強ければ強い方向に動きます.

経済状況の力関係は「情報」によって判断されます.情報とは世界情勢,大きな事件や災害,経済指標の発表,チャートが生み出す心理的な影響状況など様々なものがあります.市場関係者がどのように受け止めて,どのように判断し,どのように取引を行うかによって決まりますので,余程のことが無い限り,単純な動き方はしません.

基本的には上がると思えば,「買う」下がると思えば「売る」なのですが,市場関係者には様々な考え方や思惑や反応のタイミングがありますので,全員一致で「買い」とか「売り」は起きません.「売り手」が居なければ買う事はできません.「買い手」が居なければ売ることはできません.取引は「売り手」と「買い手」の合意で成り立つからです.

「売り手」と「買い手」が極端に少なくなった時は,取引が成立せず,値が飛びます.株式の売買ではほぼ毎朝,市場が開くときに値が飛びますが,外国為替レートの場合は週末以外は24時間市場が世界のどこかで開いているので,毎日値が飛ぶことは無く,毎週月曜日の早朝や大きなイベントの時に起きることがあります.

「売り手」と「買い手」が極端では無くても大きくバランスが崩れると急騰,急落が起こります.この現象は頻繁に起こります.

外国為替レートを観測するのに基本的な用語

さて,ここでは外国為替レートを観測することが主題なので,基本的な用語の系統的な解説は省きます.簡単な解説はしますが,わからない用語は検索するなどして,勉強してください.検索すると,いろいろと詳しい説明が出ています.

念の為,超簡単に説明します.

1. ローソク足チャート

チャートを見ると折れ線グラフではなく,色のついたローソクの様な上と下に細い針の様な線の出た形が並んでいます.これをローソク足チャートと言い,ここ数年で一般的に使われるようになりました.時間を月,日,1時間,15分,5分など区切って,その時間内の始値終値,高値(最大値),安値(最小値)を表しています.この4つの値を4値と言います.表示方法はローソク足で検索して,図を見て理解してください.

2. 月足,週足,日足,時間足,分足チャート

ローソク足1本の区切り時間が1月だと,月足チャート,1週間だと週足チャート,1日だと日足チャートなどと呼びます.月足だとローソク12本で1年なので,120本のチャートだと10年間の外国為替レートの推移を表しています.逆に1分足だと,ローソク120本で120分ですから,2時間の外国為替レートの推移を表しています.

*注:今後,慣習に従って,月足チャート略して「月足」,外国為替レート略して「レート」など略記することがありますが,慣れてください.

3. 移動平均線(MA)

10 MA,20 MAなどと呼びますが,過去10本の終値を平均した値を順番に線で結んでいくと過去の平均値曲線が得られます.この線は平均値なので,ノイズ的な特異値の影響を減らすことができます.10 MA,20 MA,21 MA,25 MA,75 MA,100 MAなど様々な平均値が採用されています.

代表的な20 MA,21 MA,25 MAなどは多くの人が見ていますので,チャートの動きに影響を与える場合があります.

MAは数学的平均値の算出手法なので,数種類あります.よく使われているのがSMA(単純移動平均線)とEMA(指数移動平均線)です.20 MAの計算方法を含めて表現している場合は,20 SMA,20 EMAなど表記してあります.

SMA,EMAのどちらが優れているか人それぞれの考えかたによりますが,どちらも状況次第で売り買い判断に影響を与えることがあります.

4. 指標発表と要人発言

ほぼ毎日,各国政府や統計機関などが経済統計値を発表したり,経済上影響力のある要人が発言をしています.定期的な発表については事前予想などと合わせてレートが上下に変動したり,その後に一定方向に動き続けたりします.これらの影響度を分析する手法をファンダメンタル分析と呼んでいます.

例えば今日10月18日水曜日には

毎月第3週 22:30 米・建設許可件数 毎月第3週 22:30 米・住宅着工件数

の発表が予定されています.これは米国の経済指標の発表なので,その結果がドルの強弱に影響を与えることがあります.ドルの強弱が大きく変わると,当然ドル円のレートに影響してきます.

米・住宅着工件数 とは

景気動向に敏感で、同時に発表される建設許可件数が先行指標とされている。住宅投資が活発になると、それに伴って家具や家電製品の購入も増加するなど波及効果がある。また、金利状況にも左右される傾向が強い。毎月第3週(夏時間:日本時間午後9時半、冬時間:日本時間午後10時半)発表。」

米・住宅着工件数 とは

景気動向に敏感で、同時に発表される建設許可件数が先行指標とされている。住宅投資が活発になると、それに伴って家具や家電製品の購入も増加するなど波及効果がある。また、金利状況にも左右される傾向が強い。毎月第3週(夏時間:日本時間午後9時半、冬時間:日本時間午後10時半)発表。」

とあります.ここで,先行指標という言葉が出てきました.

先行指標,せんこうしひょう leading indicatorとは

「景気の動向を示す各種の景気指標のうちで,全体としての景気変動に先行して変動する指標。景気の先行きを予測するのに適している。定期的に迅速に統計が得られるかどうかも系列の選択にとっては一つの要件となる。日本では内閣府が代表的な景気指標 30系列から景気動向指数を作成しているが,このうち先行指標としては,最終需要財在庫率指数 (逆サイクル) ,鉱工業生産財在庫率指数 (逆サイクル) ,新規求人数 (除学卒) ,実質機械受注 (船舶,電力を除く民需) ,新設住宅着工床面積,消費者態度指数,日経商品指数 (42種) ,長短金利差,東証株価指数,投資環境指数 (製造業) ,中小企業業況判断来期見通し (全産業) の 12系列が採用されている。」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)

わからない用語がでて来るたびに手間がかかっても勉強していくとある時,視野が開けて,今まで学習してきたことがつながります.

用語に慣れていくことがその分野をマスターする為の武器なのです.頑張りましょう.

今日はこれまで.ではまた.