過去が現在に影響を与えるように,未来も現在に影響を与える. フリードリヒ・ニーチェ
現在は過去の積み上げでできています.これに反論する人はほとんどいないと思います.
個人のレベルで言えば,今までの経歴が今現在の自分をつくりあげてきました.社会や人類レベルで言えば,歴史的経緯が今現在をつくっています.
普通は過去から現在ができて,それが未来になっていくと考えるのが一般的です.ニーチェの洞察の鋭い所は,未来についての考え方です.
現在は次々に訪れますが,永遠に訪れません.訪れた「未来」のことを現在と呼びます.そして現在は瞬時に過去になっていきます.
別の言い方をすれば未来とは人間が創り上げた幻想で,別の言い方で表現すれば,「希望」,「期待」,「信頼」,「成功」,「不安」,「不信」,「失敗」,「絶望」,「失望」などの複合的な感情のことです.
実は「未来」の幻想こそが現在に影響を及ぼしているのです.過去を振り返ることで沸き起こってくる「未来」イメージが現在に影響を与えるのです.
ここまで考えてくると文頭の言葉が当たり前の様に思えて来るのが不思議です.
掘り下げて考えてみましょう
さらに掘り下げて考えて見ましょう.上記の内容を単純化すると,現在は過去の解釈とまだ来ぬ「未来」という幻想によってつくられているということです.
それならば,解釈と幻想を調整することで現在をどのようにもつくる(「変える」ではない)ことができるのでは,ということになります.
さらに進んで極論すれば,過去も,現在も,未来も人間あるいは人類の幻想に過ぎないという事ですから,これらをどのように自分が取り込むかということがその人の生き方になります.
究極のところ,過去を悔いる必要も無いし,未来に恐れおののく必要もありません.過去,現在,未来は自由につくりあげていくことができるものだからです.
質問
さて,ここで質問です.次の質問を深く考えることで,「現在」をつくりあげていくという事の意味を解くヒントがあります.
あなたは「希望」,「期待」,「信頼」をみて「現在」をつくりますか?それとも「不安」,「失望」,「絶望」をみて現在をつくりますか?
今,どちらを取るのもあなたの自由です. 今日はこれまで.ではまた.