緑化には苗木の技術が役立っていること,そしてその苗木つくりには挿し木や接ぎ木の技術に基づていることを学んできました.今日は緑化について掘り下げるとともに,似た言葉である植林や植樹についてのお話です.
緑化,植林,植樹すべて木を植えることです.ただし,目的が違います. 緑化はある地域を植物を植え繁殖させることです.植林は産業用として材木などの資源を得るために人工林をつくることです.植林は単純に木を植える作業のことです.
植林,植樹の意味は明確でわかり易いのですが,緑化はいくつかの利用目的に分かれます.緑化について掘り下げていきます.
緑化の種類
1. 都市や屋上,道路など人工的な環境の緑化
都市部のビルや道路はコンクリートでつくられています.初期段階では空き地があり,土も残されていますが,だんだんコンクリート化されていくことで,植物は生育できなくなります.
都市部でも人工的に環境を整えて緑化していくことが可能です.緑化する事により,都市生活の中に自然環境をとりいれることでより情緒豊かな生活を期待することができます.
2. 自然の森,緑地などをつくる目的の緑化
砂漠や荒れ地など,植物が生育できない場所は人にとっても住みにくい場所で,緑化によって地質を改善することで,環境を変えることができます.例えば水の保持ができない土壌が潤ったり,砂漠で砂が移動することで植物が定着でできかった場所で農業を可能にすることもできます.
また,山林伐採や津波などの被害で植物が滅んでしまった地域の回復も緑化に含まれます.
緑化の問題点
自然の相互関連は複雑なので,人為的に行われた緑化が結果的に自然破壊や生態系の変化を引き起こすことがあります.
特に大規模な緑化事業はその影響力も大きく,将来どのような結果をもたらすか予想するのは難しいです.
単純に緑になれば良いという考え方は非常に危険です.特に帰化植物の流入は現存の植物生態系に大きな影響を与えますので注意が必要です.
現代で特有の病気である花粉症などの思いもよらない被害が将来発生することを予め予想することは非常に困難なことです.
また,地震災害などが多発している今日では都市部の街路樹が緊急対応の妨げになったり,復興の妨げになることが注目されてきました.植えた時は小さな木でも樹齢が増すと大木になります.道路をふさいだ場合は消防活動や避難活動の妨げになります.
また,火災時に有毒ガスを発生する木もあることを考えれば,非常時のことも想定して緑化を考えなければなりません.
人の生活を豊かにするべき緑化事業が,管理や処理費用で自治体の経済を圧迫したり,花粉症で住人を苦しませたり,非常時に多くの人の命を奪うことがあっては本末転倒です.緑化には知恵を出し合って慎重に解決していかなければならない問題が残されています.
今日はこれまで.ではまた.