以前は9月15日が敬老の日でした.連休をつくる目的で第三月曜日になったのは2003年(H15)からです.
「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し,長寿を祝う」という趣旨で国民の休日と定められています.
なぜ?
おじいさん,おばあさんを敬愛しましょうと言われても,「なぜ?」となってしまう社会風潮です.でも,よく考えて見れば,どんな時代でも,社会は世代の継続で成り立っています.誰かが次の世代のことを考えて努力をしてきた結果で社会や文化が残されてきているのです.
その社会や文化で生まれ育った世代が次の世代をつくって来たのです.そして,誰もが前の世代の恩恵を受けていて現在があることを思えば,自然に自分もその一員であることに気づくのではないでしょうか?
意地悪ばあさん,頑固じいさん
もし,万が一,身近に気に食わない意地悪ばあさん,頑固じいさんが,いたとしてもそれは世代間が否定しあう理由にはなりません.総体的にみれば前の世代は今の世代の身内であり,次の世代も身内になるのです.そして,次の次の世代も.
敬老の日に前の前の世代を思う事で,その前の世代をも考え,歴史にまでさかのぼっていくことができることができるのです.歴史は世代から世代をとおして引き継がれてきた流れを後から振り返ることで,今の自分をよりよく理解することができます.
人と動物の違い
サルや象には「群れ」があり,鳥にも「家族」があります.個体が社会に奉仕することで所属グループの最大利益を生み出すシステムです.
効率よく利益を生み出していくシステムに違いありませんが,人の社会とは大きく異なる点があります.
人の社会は今現在だけでなく,前の世代,前の前の世代の遺産を引き継いでいます.
遺産とは物や技術,知恵,知識などのことで,農業だとか工業だとかの世代間の引継ぎが無ければ,今も原始時代以前のままでしょう.
つまり,世代間の遺産の引継ぎこそが人の社会の最重要事項なのです.これが無いと人の優位性はありません.
本当の教育とは
次の世代に技術,知恵,知識などを伝えるシステムを一般に「教育」といいます.
ひとは重要性が分からなければ学びません.腹が減らなければ食べ物の貴重さは分かりません.
教育の基本は技術,知恵,知識などの重要性,貴重性を学ぶことです.たとえば技術だけ,知識だけの重要性を強調する社会には問題が出てきます.知恵が無ければ社会はダメになります.
技術,知恵,知識などがバランスよく世代間に伝わることで社会や文化が発展し継続可能になります.
一人ひとりの命と歴史
本当の教育が行き届き,皆が,他人を大切に思う気持ちがあれば社会を大切にすることになり,家族を大切にし,そして最後に自分を大切に思う気持ちにつながります.皆にとって素晴らしい社会が実現します.
そして,一人ひとりの努力の結晶が長寿でもあり,それは目の前の生き証人となっています.
生き証人がたまたま自分であるかも知れませんし,他人であるかも知れません.どちらにしても,社会,文化を生きて来た証に敬意を払い,祝うのは人として自然ではないでしょうか?
そういう気持ちが当たり前のこととして世代を隔てた次の社会に貢献していくのではないでしょうか?
歴史の中で長く続いた「良い社会」にはこういう知恵が根付いていたのでは?と思うこの頃です.
今日はこれまで.ではまた.