山河海空

自然から日常生活まで,独自の視点でみていきます.

壁を背にして座り考えることの勧め 1

座る

忙しく動いているけれど大事な事を忘れているのではと不安だったり,計画したのにやりたいことが思うようにできないとか,ついゲームやテレビに夢中になって一日中何もせずに終わってしまうなど現代の多くは「大事な事ができない病」にかかっています.なぜでしょうか?

現代の様な情報過多の社会では情報があふれていて,それらを処理することだけに追われてしまい,状況に反応するだけしか出来ないからです.

反応だけに追われていると落ち着いて考えることができていません.また,どの様に対応して良いか分からない時は反応するためのノウハウの情報集めだけに追われてしまいます.

これは押し寄せる情報の海で溺れている状態です.どうしたら余裕をもって情報の海を泳ぐことができるのでしょうか?

情報の海では,まず呼吸法を覚える

泳ぎで第一に大切なことは呼吸です.人は呼吸しないと苦しくなります.泳ぎながら呼吸ができなければ,どんなに頑張ってもやがては溺れます.

情報の海での呼吸とは「考えること」です.考えずに情報を処理しているのは情報に反応しているだけです.形だけの泳法を覚えても呼吸がきちんとできなければ,泳ぎのマネをしているだけです.

では,きちんとした呼吸,すなわち「考えること」をするにはどうしたら良いのでしょうか?

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答えは,「考えること」をする時間をつくることです.そして,「考えること」をする習慣をつくることです.

これができないと,どうしても「考えること」は後回しになってしまいます.なぜなら考えなくても状況に反応することはできますので,その場しのぎにはなりますが,「考えること」は容易に後回しにできるからです.

この様に反応だけしている間は進歩できません.10年繰り返しても20年繰り返しても同じ反応をするだけだからです.

日記と反省

一芸に秀でた先人達は日記をつけるようにと言いました.私も長い間この意味が分かりませんでした.なぜでしょうか?

日記をつけるとしたら,毎日何かを書かなければなりません.そして,書くためには何を書くのかを考えなければなりません.

すると,今日一日の自分の行動が果たしてこれで良かったのかどうか,どうしたらもっと良くなるのかなど反省する時間をすることになります.実はこの時間をつくることが大切なのです.

書かずに考える

でも,昔に比べて現代の様に情報量が数十倍から数百倍もある場合だと日記では対応できなくなっています.その日の情報を一つ一つ書き出していてはとても反省や考察などする時間がないのです.

ですから,日記を書いても出来事や情報の羅列だけのものになってしまい勝ちで,反省や明日への工夫などに至らない場合が多いのです.

私自身も日記や反省の重要性には気づき始めたのですが,続けて行くと単なる日々の記録に終わってしまいます.様々な事を考察している時間が無いのです.

そこで,書かずに考えることだけを始めてみました.考えている間は書き出したりせず,とにかく様々な事を考えてみます.メモやノートは用意しません.メモしなくても真剣に考えた大事な事は必ず頭に残ります.

考えた後に考えたことの要点だけを書き出せば良いのです.書き出す時に思い出せない様なことは重要では無いとして捨ててしまえば良いのです.

壁を背にして座る

そして,「考えること」をする時は壁を背にして座るようになりました.寝ながら考えると寝てしまうからです.

また,考える場所を固定しないとすぐ次の動作に移ってしまい,考えていたことすら忘れて何か別のことを始めてしまうからです.最初は神聖な儀式の様にして壁を背にして座ると良いでしょう.

壁を背にして座る手順

1. 自分の居心地の良い場所を決める

壁を背にして座れる場所を決めます.

2. とにかく座ると決める

イライラしたり,仕事が手に着かなかったり,何をしたら良いかわからなかったり,不本意な時間の使い方をしているなと思ったら,とにかく座ります.

3. 腰と背を壁につけて座る

腰と背そして後頭部を壁につけて座ります.その時,両足の裏を合わせませす.そして,両手の手のひらは膝がしらを押さえて,肩は落とします.後頭部をつけておくのがコツです.

手は脚の付け根に移動してもよいです.脚が厳しくなってきたら伸ばしても構いません.頭は下がると良くないので,後頭部は気が付くたびに壁につけましょう.

4. 周囲にスマホや紙とペンなどは置かない.

周囲に何かがあると触りたくなります.行動を始めると次の行動が生まれるので,周囲にあるものは遠ざけましょう.

5. 考えましょう

自由に考えましょう.考えることが思いつかなかったら,今日一日の出来事や感じたことを思い出しましょう.

日頃から疑問に思っていたことややってみたいこと,今後の計画など,なんでも自由に考えてみましょう.

全ての必要な情報はすでにあなたの中にあります.ネット検索したり本を読む必要はありません.無くても十分に考えられます.

集中して考えていると,様々なイメージが湧いてきます.考えることの大部分はそれぞれのイメージを見つけてそれらの関係や生まれてくる感情を整理することなのです.そして,自分はどうしたいのか,どうすればそのようになるのかを考えます.

これもイメージです.何かを計画するときもイメージで計画しています.多くのイメージがはっきりして,整合がとれてきたとき,気持ちがさっぱりします.

人によっては聴覚のイメージで考えたり,臭覚のイメージで考えたりする場合もあるかもしれません.

いずれにしてもこれらのイメージと沸き起こってくる感情が整理されてくると気持ちが安定してきます.

この様な考えることに時間をとって集中する習慣ができてくると,今までいかに考え無しにただ反応してきたか気がつきます.

感情の赴くまま,あるいは感情を押し殺したまま反応するだけの毎日を続ければ,水を飲みながら,あるいは呼吸せずに海でおぼれているのと同じです.

考える習慣

瞑想,座禅,ヨガ,散歩などどんな時でも良いのですが,瞑想や座禅,ヨガはそれぞれの作法があり,自由に考えられないかもしれません.散歩は外部からの情報を遮断しにくいです.

集中的に考えるには,背筋と首筋を伸ばして座るほうが私には容易で効果的です.壁を背にすると自分の姿勢を確認できますし,姿勢も楽です.椅子だと今までの習慣で長く続けられず,別の作業に移ってしまい勝ちです.

「考えること」に時間をかける習慣をつけてイメージの整理と感情の整合をきちんとすることができると気持ちが充実してきます.

日々の生活が充実し,行動が計画的になります.行動したことが実現してくると自信が湧いてきますし,うまくいかなければうまく行くための工夫もできます.そしてこれらの好循環の連鎖がよりよい自分と自分の周囲環境をつくりあげていきます.

一時的にあふれる情報を遮断して,自分の中にある情報で「考えること」をする習慣を持つことは,健全な生活に欠かせないのではないでしょうか?

今日はこれまで.ではまた.